新章4 思いもかけぬ存在
「だな・・だから、深海じゃなくても生存出来る可能性があると言う事も含めて、我々が今後の食の関連も含めて、検討をして行く必要があると言う事だ」
「で・・それを続けたいと言うのか?コウタは」
「いや、ランの宇宙行きの話を聞いて、俺も見たくなった。宇宙の基地をさ。こんな事が現実に出来るとは到底考えても見なかった」
「だよなあ・・そこは同感。だって、俺達はこわごわドームと言う隔絶された庇護の中でどうにか這い出て、敵に怯えながら、周囲はどうなっているんだろうと一部の実働班だけが表に出る形で、非常に偶然も重なって色んな発見に繋がった。そこに海底トンネルの発見は俺達に光明を与えたし、またそこから勇気あるシン達のずっとそうだが、活躍で瀬戸内海の今までとは全く違うパラダイスのような光景に出会い、それからあれよあれよと、再びオオコウモリとの脅威にも遭遇しながらも、歴史に登場した和良司令官がぱっと現れた。そこで、とんでも無い発明と思考力を見せられた、しかしその和良司令官も、とうとう最後は自滅に近い形で消滅した。だけど、その遺した科学力と言うのは、今のMSI飛機にも繋がっているんだ。順風満帆に来た訳じゃ決して無いし、一歩間違えば、常に死だの直面だった。でも、今・・突然宇宙だなんて、それもT国を始めとするユーラシア大陸に歩を進めている段階でさあ」
ショウが子供のようなきらきら眼で話をしているが、マコト隊長は、ケンやリンとこしょこしょ話を続けていた。
だが、ここは酔論の場、それを咎める者など皆無だ。自分の興味のある話に入って行けば良いだけだ。
「そこは分かった。でも、画期的とか、凄いなって言う話は止めよう。それは前時代には、もっともっと進化していた先端科学が宇宙開拓をしていたからだ。自分達は、先人の残した知恵とか想像物の恩恵に預かっているだけだ。けど、もうそんな事を形容する必要もない。堂々と先人の知恵だろうが、他国の科学だろうが、盗んできてやるぞ」
「おいおーーい、ラン。お前は、堂々とそんな盗むって話をするんじゃねえよ」
わはははは・・流石は飲み会だ。場が一気に盛り上がった。そうだ。彼らは失う物などもはや無い。ある物の知恵を借り、ある物を利用する。それで良いと思った。
そして、この飲み会は彼らの日頃のうっ憤も放出し、結束を高めたのである。こうして大蛇捕獲のミッションは、急激に進んで行く。ケンシン部長は、即座に20Dプリンタの性能を不満足としながらも、コウタ班長は筋弛緩剤をその中に注入する案を提示し、とにかく日本まで何故、そんな大蛇をM国で開発したのか・・これは、日本が開発した第2の生体武器だとランがもう決めつけていた。そうでなければ、非生産性でこんな大きな個体を食糧難の時代への巨大化施策と考えても、整合性が無いと主張した。ケンはその円柱型ラッピングケースを引っ張るロープを製造し、とうとう最下部にある日本~M国への地下通信路を、シンが開示した。これはシンがあらゆる検証をして、尚且つ現地調査をして出した結論だ。そうでなければ、この地下通信路がまさかT国を経由し、M国まで抜けている事すらも知らず、ソード開発や、地球を何周もMSI飛機で飛び回る事も無かったのだ。そして、その検証もM国だけには留まらない。周辺の検証も同時進行で行っていたと言うのだから、和良司令官並みの同時多発的思考そのものだった。シンこそ、新時代のトップ司令官となれる素材である事はもう証明されている。




