新章4 思いもかけぬ存在
「ふむ・・ショウ・・お前はこう言う部分が非常に得意だ。早速作ってくれ、それのお触れを出すからさ。今は、画像伝達が一斉に出来る。そこもある程度便利にはなっている。今までの旧式だと、また人類が災いを招いた結果だと、先進分化を否定して来た経緯はあるが、むしろ俺達が今回月に行って他国の文化を持ち帰ったように、そう言う部分は変えて行かなきゃな、コウタ、今の部分は納得するか?」
「ああ・・即座にそう言う回答が出来る部分が、やっぱりこう言う会議的じゃない雰囲気だから出せる。是非、そう言う事を改革して欲しい。最終校正と言うか、文面とか方法は幹部会議でまた決定すれば良い。じゃ、俺が今やっている事、是非やりたい事もここで披露しとこう。実は、瀬戸内海の棲息動物、海藻類については、ほぼ調べ終わった。だが、どうしても解せない生物が2種あって、それを今調べている所だ」
「それは・・聞いても良いか?いや、無理なら良いが」
ランは、知りたがりだ。だから当然反応した。コウタは、
「はは・・ここまで言っているんだ。勿論言うつもりさ。ズバリ言おう、確かに大津波の影響かそこまでの温暖化の影響か、かなり海洋汚染の進んだ海洋生物だが、この瀬戸内海では別天地のような環境であった事が、これ程の繁殖をしたものと見える。それは何故、このような環境になったのかは、地下水なんだよな・・海底に幾つかの噴出孔がある。比較的地下水については汚染を免れている。そして、砂や細かい岩石などがフィルターの役目を果たし、海底から突き出た海洋センター棟が浄化の役目を果たしていた。波が少ない分、プロペラのように回転しながら羽が水流を作っていたんだ。湖のような溜まり水は淀み、水質も悪化するが、丁度良い位に恐らく堰き止められたとは言え、瀬戸内海には潮の満ち引きと海底流があるようだ。つまり、どこかに抜けているんだよ」
「じゃあ、瀬戸内海から不毛の周辺の海に生物が広がる可能性はある?」
「あると思う。既にプランクトン等も、以前より周辺の海域には増えているだろう。つまり、既に再生のスタートはしているんだと思う。対馬だってそうさ。幾ら遺伝子操作されたとは言え、海洋生物は繁殖可能なものだ、そこから徐々に広がって行くと思う。擬ガジュマルの木だって、本来は内陸部の食物なのに、マングローブ型の遺伝子植物に、果実のなる他の植物のヤドリギとの共生をしている。そのヤドリギも遺伝子MIX植物だ。つまり俺達は、もう余りそこに人為的再生を手伝う必要は無いと思う。それより、この2種だ、1種は瀬戸内の浅海に、深海魚が居る。新たな生体では無く、水深1000M以上に生息していたオオグソクムシだ。瀬戸内海の海水温は約18度前後。そこに適応したのかな・・これがどう言う訳か結構海底に生息しているんだ。もう一種はフクロウナギだ。数は少ないが、恐らく大津波によって打ち寄せられた中から、かろうじて生存したものだろうと思っている。何故に適合したかは、やはり地下水の噴出の影響で、底の海水温が14度前後と低いせいかと思っている」
「ふうん・・深海魚か・・そう言えば、クラゲもそうだろ?深海魚じゃないのか?」




