新章4 思いもかけぬ存在
「じゃあ、そこを聞きましょうか、宇宙エレベータの事はご存じだったんですよね」
「ええ・・それも21世紀に提唱され、22世紀の中頃には実用化を目指していた筈です」
「だが、実用される事は無かった・・と言うのは、それを破壊すれば、相手国の打撃となるから、互いに牽制し合ったと言う事でしょうかね」
「そうですね、互いに協力すれば、より早く、より高度な科学力が生まれ、多大な発展があった筈。しかし、各国はその知恵を出し惜しんで、隠し、牽制し合った」
「その結果が地球の破壊、汚染、温暖化、核爆弾・・愚かだと言われる部分だよね」
マコト隊長が言うと、もう何度も言われて来た事だ。今更ながら過ぎ去った過去になってしまう言葉だ。
「じゃあ、もう一つ質問する、あ・・俺ばっかり言って構わないのかな?」
コウタが言うが、ここは無礼講、誰が仕切っている話では無いし、既に少量のアルコールも入った。彼らは酒に強くは無いが、適度に酔える。全くそこに駄目と言う者も居ない。
「多分、宇宙エレベータの事と私が無線光ケーブルの利用の事をお聞きしたいんでしょうね」
「ふ・・そうです。それも応用と言う事は、MSI飛機がそもそも地球上に走る無線光ケーブルを利用した、宇宙エレベータと同じ原理と理解しております。つまり、宇宙であろうが、水中であろうが、今ランが言ったような反重力=水圧すらも反重力で克服出来るMSI飛機内の圧が、それを均衡化させると言うものだと思うんですが」
「その通りです。つまり、それらの均一に力を分散し、強烈な重力、圧力に対抗できるのは、真円である必要があると言う事です。私が何時もの口癖で満足できないと言っているのは、その精度です。20Dのプリンタでは、その精度が出ないから、マスキング、ラッピングの厚みの調整を、例えば何重にもしたり、網目のように繊維状の物を組み合わせたりしている途上なんです」
「ここで、提案したいんですが・・」
黙っていたシンがそこで言う。
「ケンシン部長の元に、我々と初期実働班のメンバーで、優秀だがまだ表に殆ど出て居ない男、カンジが役職について居ないんだが、皆の中で、それを疑問に思った者は居るかい?」
「え・・カンジ・・ちょくちょくは合って話もするが、カーバイドを確か発案したが、殆ど今は使用もしていないよな」
「はは・・カーバイドなんて、それは単なる知識の中の一つであって、それが専門じゃないよ」
「でも・・カンジ程の男がどうして?」
「とっつきにくくてさ、少々変わり者なんで、組織のチームとしては確かに主要な班に加入していないし、だから、*隠密班を組織していたって事は知らないよな?皆も」
「そんな班・・まだあったのか?だけど、隠密班って言う位だから逆に知られてはまずいだろ?」
*かなり後にカンジの本当の立場が明らかになる。とても驚く能力の持ち主であった事を知る。
そこはショウが眼をくりくりと・・だが、唯一人リンは、




