基地
これ程血相を変えてシリマツが怒るのは、初めての事だ。だが、ここで怒らない上司はまず居ないだろうと思う。貴重な実動班メンバーが、無許可で野外活動と言おう、そして命からがらであっても戻れた事が幸運だったと言える。これには、一言も無い、しかし、一連の説教が終わった頃に、シンに向きシリマツは、
「で?シン君。君がリン君の危機を見て飛び出したと言うのは理解したが、君の居た第6監視塔からは相当距離があった筈。いかにして、リン君の危機が分かったのか説明を願おう」
それは当然質問される部分だ。実際一番リンに近かった塔は、第4監視塔だ。そこには、ランが居た筈。殆ど見えなくも無いが、ランが一番把握出来ても不思議では無かった。何故なら、リンの担当は第8管理塔だったからだ。
「あ・・それは、リン君が自分の第6監視塔付近方向に向かい、走る姿が見えたからです。ですので、その場を任せ、第4管理塔まで、方向的に向っているので、自分は走りました。そして、第4監視塔から無数のオオコウモリが、リン君の向かった方向に動いている様子が見えましたので、危険だと思い、大葉を使用し、それで身を隠しながらリン君の居る方向に向いました」
「成程・・第8監視塔から見えたんだね。確か、リン君は相当脚力があったね、その動きを感じ、君は、つまり自分の発表したシンMAPに従って行動したと言うんだね?」
「そうです。最近では管理塔に、かなり遠方まで見える望遠鏡が配置されました。そのお陰で、随分視界も広がりましたから」
シンの説明には、説得力があった。ランには、阿吽の呼吸で目配せをしているから話を合わせてくれた。勿論、ランはシンと仲が良いものの、互いに全てを知る訳では無いが・・
「あ・・そうなんです。血相を変えて、シンが俺の所の第4監視塔に来て飛び出したんですよ。でも、それは自分達の実動の範囲だと思っているし、俺達は2人、3人態勢で今動いておりますからね?」
言外に、ある程度の野外活動はまるで認めている筈だと、ランはシリマツに言っているのだ。そのランは、エライ班長とシリマツ官吏が何度も野外活動をしているのを見ていた。それは一番、ランの居る第4監視塔付近が安全だと言う事が分かって来たからだ。




