新章4 思いもかけぬ存在
やっと事の大きさが分かったのである。M国では巨大蛇がひょっとして生体武器に?
そして、彼らは厳重に通信路の蓋をし、日本に戻る事をシンが決定した。ケン・リンについては、引き続き残りたいと希望があったが、ラン・ショウは、今しがた着いたばかりなのに、今度は帰ろうと言われるんだぞ?と、その2人にやってられないのはこっちだと怒って見せた。勿論本音では無い。しかし、M国で蛇であれ何であれ、生体を見つけた事と、無傷の地下通信路を見つけた結果は大きい。そして地下の大河の存在である。もう十分な成果を出しているのだ。今後はまたそこからの事を決めれば良いのだ。
今度は、ランの推奨するルートで九州本部にあっと言う間に戻ると、ケンシン開発室部長が待ち受けていて、眼が点になっていた。
「ラン班長・・貴方の発想はどこから来るのでしょう。そして、最もMSI飛機に適したパイロットは貴方でしょうね」
ランの鼻が膨れる。褒められて、まんざらでも無いのだ。でも、それは第14班全員が分かっている事だった。
シンとこの場にランが残り、それぞれのメンバーはダンを中心に、画像のチェックに入ると言い、やはり対馬研究所に戻って行った。
「今回は、目まぐるしい移動でしたね、ラン班長」
「いやあ・・全然っす。ただ、予期せぬ事が多過ぎたように俺は思うけど」
「それは?」
「月基地ではバタバタと人が倒れていた。A国基地の人間だと思うけど、地下基地じゃ無く、月面基地にどうしてあれだけ人間が居たのかな・・殆どは月面で活動するのは産業ロボットだと思っていたが」
「ふむ・・成程」
ケンシン開発室部長は、腕を組み考える仕草を見せた。シンが、
「俺も、ランからちらっとだけ報告を受けただけで、良くは知らないんですが、とにかく驚く事ばかりです。ですが、想定内にあったものがほぼ事実になったので、今後を考えたいと思い、急遽戻って来ました」
「お疲れの所を申し訳御座いません。お呼び立てをしてしまって」
「いえいえ、とんでもない事です。より良い方向になる話なら喜んで」
その頃、ダン達も思わぬ大蛇の遭遇に肝を冷やしており、コウタ研修所長と、キョウ班長を交えて10D画像による会議をしていた。より具体的な話になっているので、こちらを先に・・




