新章3 いよいよ
「なあ・・時々俺は、山切りの樹上でキャンプをしている。当時の見張り小屋はそのままあって、夜空を見ていると、流れ星なんかも良く見えるんだ。地球は変化しても、彗星などの通過で結構流星が見えたりもする。これは、地球以外の星には変わりが無いと言う事だもんな」
「地球には確かに地殻変動や、電磁パルス爆裂等もあった。宇宙から見たらどんな感じに見えたんだろうな」
シンがそう答えると、
「なあ・・今のMSI飛機で宇宙行きは可能か?」
リンが突然聞く。
「基本的には可能だ。原理は宇宙エレベータと同じ。俺達が大気圏内を限界値のマッハ3で飛んでいるのと同じく、大気圏内での熱量は逃がせるし、大きな燃料を要しない。要するにリニアカーのように磁力と同じく光子の反発を利用して、推力を得ているんだ。その燃料は永遠に近い。空気抵抗は無いとは言わないが、上空を3段に流れる一番上のジェット気流に乗れば、その加速が加わり実際にはもっと早く飛べると言う事だ。地球の重力も、宇宙船には帰還の際や旧来のロケット燃料形式であれば、膨大な燃料を使い、それで推力を得る。戻って来る際には空気抵抗で速度を落とす為に、地球の重力を利用するんだ。まあ・・惑星・衛星も同じ事だが、その自転軌道に比例した高度、速度で周回する限り落ちて来ないと言う理屈だが、この方式は全く違う。大体膨大な資金を投入し、1回1回宇宙に行く度にゴミを放置する。そんな無駄な事は、とっくの昔に卒業した筈なんだ」
「ふうん・・ところがそのやり方から脱却できない国が多かった?」
「と、言うかそこまで技術力と開発力が無かったんだ。それが世界的なウイルス蔓延や、耐性菌等によって抗生物質が効かなくなった。人口が激減したからだ」
「だから、地球を飛び出し、新天地を求めた?」
「むしろ、そっちの目的の方が大きいだろうな。優秀な科学者達は、そんな危ない地球よりも、少なくても、まだそこまで荒らされていない太陽系内惑星・衛星に基地を建造した」
「有用な物があったのかな」
「多分あったんだろう。そして、そこなら見つけた者勝ちさ。自由にそれを使えるからさ。地球でも盛んになっていたが、地下坑道って言うのは、一番安定しているんだ。そこなら気温も一定に保てるし、生活も容易だ。それに他国からの干渉から逃れられる」
「じゃ・・宇宙船の開発より、むしろそっちに機材を送り込み、基地を建設するのが先行した?」




