新章3 いよいよ
この日は、特に気になるようなものは無かった。どこまで行ってもやはり赤茶けたと言うか黄色いパウダーの砂が広がる光景だったからだ。
そして、翌日も同じように2機はスタートする。その途中で、キョウ班長より今で言うテレビ電話が入った。MSI飛機は自動操縦に切り替えられ、ダンと共に会話に入る。
「さっそく分析をしたが、水だけど、殆どはゴビ砂漠の砂の成分が水に溶けていて、その成分表を送る。後で確認してくれ。それと・・シン首班が気になったと言う微生物の事だが、4種を確認したよ。元々土壌の中に居た菌で、日本では検出されなかったんだが、恐らくアルプスからの氷河の中に閉じ込められていたものだろう。地下水脈の件は、間違い無くあるだろう。無数の大河が走っていてもおかしくは無い」
「そうか・・早速やってくれて有難う。細菌・・それも土壌菌が居たと言う事は朗報だ」
「あ・・もうちょっと報告がある。見て貰ったら分かると思うし、ダン副首班も居るから判断して欲しいが、鉱物的に非常に多くの重金属が含まれている。その中に特にプラチナや、金、オスニウムの含有量が多いんだよ。そこが何か鉱山だったのかも知れないね」
「おう・・そうか。そう言う事なら、ショウにも伝えとくよ、じゃ」
短いやりとりだったが、これ十分だった。シンは、
「思った通り、ここだけちょっと盆地のように見えてさ。変哲も無い砂漠地帯なんだけど、周囲を上空から眺めると、クレーターのように見えたんだよ」
「クレーター?火山は無かった筈だから・・隕石の衝突跡のような?」
「うん、そっちだな。M国は、唯一日本と裏同盟を結んでいたらしいと言う情報が、これも最近になって出て来てな。つまり、急速に宇宙開発に力を入れ出したと言う近年の各国の開発競争とは別に、M国は特に一気に科学力を蓄え始めたそうだ、それは世界の列強と肩を並べる位までになっていたと言う事さ」
「元々日本とは悪い関係では無かったからな、ただT国ともR国ともⅠ国とも近いから、社会主義国としてずっと看板が上がっていたが、日本との関係は相撲の交流もあって、良好だった。Ⅰ国と日本も、そう言う意味では或る程度の関係は出来ていたからな」
ダンも、そっちの歴史には明るい方だった。
「その後押しが日本であるなら、足りない資源を地下通信路で補い、逆に技術を提供していた可能性がある。しかも、資源大国だったしな」
「うん・・ここならT国や他国の横やりも入らない・・あ・・何となく繋がって来たぞ。ソードの威力であれば、地下掘削道なんて、あっと言う間に出来ちまう・・」




