新章3 いよいよ
「く・・くく。だな・・済まん」
「まあ、未知の世界、予期もせぬ事は俺達の前に待ち受けている。だから、彼らも自動連射銃よりも、もっと簡素で、何か使えないかと思う中で、とんでも無い物が出来ちまったって言う所か?」
「そう言う事だ・・うん」
「シン・・お前は、最近・・理屈っぽくなって来たぞ。確かに理論の裏付けは必要だ。けど、全て説明しなくても、俺は俺の解釈で言う。違う時は違うと言えば良い」
「分かったよ、最近ではダンの方が言う言葉は、短くても説得力がある」
「はは・・要点だけ分かっていれば、俺達は第14班、それぞれに動くさ。俺は副首班を任じている訳では無い」
「だったな・・最近説明しなきゃならない事が満載で、知らずの内にこう言う口調になっちまっていたよ」
「シン・・お前は大変だなと何時も思っている。だが、今回を見てもお前の行動力には誰もが敬意を払い、忠言する者も居ない。時には俺達にも換言をさせてくれ、時には耳が痛い事も言うからさ。俺も出来るだけお前の負担を少なくしようと思っている」
「有難うな・・じゃあ、ダン。今から俺が調べたい事を先にやりたい。ここは元M国の砂漠地帯だ。今も砂漠地帯で、何ら風景も変わらないとは思うが、ここには低木や草が点々と本来生えていた筈なんだ」
「うん・・」
「全く無いとは思っていたが、本当に何も無いんだもんなあ」
「そりゃ、電磁パルス爆裂のせいで・・」
「ああ・・そうなんだけど、もともと赤茶けた大地だった筈なんだよ」
「ゴビ砂漠だろ?今は、6月・・本来なら気温も40度を超えている筈だが、意外にも涼しいよな・・」
「この砂漠の砂が黄砂と言い、日本にも飛来するんだ。確か、一度そう言う事があった」
「あったな・・」
ダンには、何が気になっているのかシンのまだ考えは見えて来ないが、確かに見渡す限りの砂の山・・砂漠であった。
「見ての通り、非常にこの砂粒は細かい、パウダーのようだ」
「もともとの砂粒が、更に粉々になったと言う事か?」
「ここにさ・・擬ガジュマルの木が適合しそうだなとふと思った。もともと砂漠周辺には塩湖があって、気候の変動がどうなのかは分からないものの、上空には地球を一周する気流が流れているんだ。気流は何層にもあって、冬と夏では違う。日本に黄砂が飛んで来るのは、大体春ごろだ。だが、俺達が黄砂を確認したのは冬だった。と言っても、日本の気候は当時とは全く違っている。亜熱帯気候だもんな」




