新章3 いよいよ
「その中で、特にシン首班や、ダン副首班、第14班の班長達は、その海外MSI飛機を難なく乗りこなし、時速12000キロ、高度10000キロまで伸ばしております。その点で行けば、国内用のMSI飛機のパイロットを養成すべきとの私の提案で御座います」
「おう・・それは、朗報ですね。皆さん、今後はその養成も募りましょうか。勿論、これを乗りこなすべく、体力や実技等の試験をすべきですが」
「異議なし」
ようやくケンシン開発室部長の提案が、そこで容認されるに至った。そしてダンの番となり、
「自分は、やはりシン首班と共に、この地球全体の探索にもう踏み出す段階に来ているのだと思う。光子は永久に失われる事の無い素粒子の一つだ。これを発見・発明まで持って行った和良博士の功績とは言わないが、その高い歴史上の大発見である遺物は利用するべきだろう。我々もここまで様々な事を体験し、また学んで来た中で、もう瀕死の状態であった地球を捨てて太陽系内惑星に活路を見出していた、世界の潮流を再生と言う視点で、どうせ壊れる寸前だったものだ。何もしなくても滅んだだろうこの地球内の全生物・植物をも含めて、一端完全に消滅させた上で、遺した種を撒く・・その手法を認めざるを得ないのかなと言う考えも少し湧いて来ている。勿論肯定するものでは無いが、産業資料館にはその遺産や標本、生物のDNA等も残っている。だとすれば、やはり人類にはまだ幾ばくかの再生への道が残っているのでは無いかと思える。そして深海にはやはり生物が生き残っていたし、これは、危ない負の遺産の方であるが、数十万年消える事の無い放射能の深海底放棄にしても、いずれ、未来に繋ぐ事が出来るならば、もう一度地球の自然を取り戻す事が出来る知恵を与えられているのかも知れないと思うようになった。俺も反省すべき自己の改革も含めて、是非、この探索について提案をさせて頂きたい」
パチパチパチ・・自然と拍手が沸いた。危険を顧みず、それを行う。率先して自らそこに出向く。誰もが尻込みすらしそうな難関も突破する。ダンの言葉には、尊厳の拍手が沸いた。こうして、初とも言える大きな会議はこまごました事は事務方も増えているので、処理し、シン達は、いよいよT国海岸部から内陸部へ。マコト班はR国及び北極圏に向かう事となったのである。やっと・・彼らはここまで来た。そして、この先に待ち受ける驚愕の出来事が起きようとは誰も思わなかった。彼らはまだやっとよちよち歩きから、真なる人類の間違った方向に走り続けていた世界の潮流を垣間見る事になって行くのだ。この若い彼らがどんな苦難に向かって走ろうとしているのか、今までも含め、平たんな道がこの先に待ち構えているようには思えなかった。
シンとダンが、一緒に行動するのは、もう滅多になくなっていた。互いに未だに組織と呼ぶが、その重鎮の2人である。しかし、会議でも見られたように、会議のメンバーその者達が以前の黒服同様の役割を担い、その顧問役に今も健在で神野元老、黒川主査が居る。特に黒川主査は、エライ首班としてずっとシン達とやって来た直属の上司なのであり、今も彼らはトップ同然の存在として扱っているし、貴重な助言も貰っている。神野元老は、いわんやシン達の元教官であり第2世代のトップリーダーである。彼らが存在する限り、組織は安泰だ。




