新章3 いよいよ
「では・・この件はチームを発足させ、実行に移す。ただ、ここで何事も順風満帆に進んでいるとは思わないで欲しい。と言うのも、人増員ミッションは、実行しているが、まだまだ我々には不明な条項も多く、今言う植林、放動物計画、海洋生物増殖計画にしても、本来の自然とは全く異質な電磁パルス爆裂後の世界における試行錯誤の中にある事を忘れないで欲しい。どこで思いとは別の事象が発症するかも分からない未知数分野を秘めているからである」
「コウタ研究所長・・それは承知している。しかし、我々が今言う全ての行動には、この地球全体の中で、どこかにまだ人類が生き延び、生態系も存在すると言う希望を捨てないと言う事と、環境依存と言うものもある。その現在の環境にマッチしているからこそ、これらの動植物は生存しているので無いか?また増殖可能の可能性を秘めているのでは無いか?その為の決断だと思う。我々は何度でも失敗すれば良い。そこで失敗ならば、とにかく今現存している者達で一歩でも前へ進むと言う事では無いのかな」
言ったのはダン副首班である。その言葉に全員が頷いた。
「では、今の議題は了承されたと理解する。次にT猿人受胎現状と報告だが、現時点では誠に順調だと思っている。しかも、2卵の受胎が可能であり、受胎期間は8か月だ。これまでの試験管ベビーミッションでは、人的な作業が大変だったが、今回は非常に母体も大人しく、ほぼ人間が危害を加えない事も理解しており、殆ど手をかけない。今5体が試験受胎中であるが、こちらはメイ・リー博士の担当で今後もやって頂く、監修はキョウ班長に引き続きお願いする」
「了解した・・で、良いんだな?皆も」
「異議なし。お前を置いて他に適任者もいねえよ、任せた」
ランが言うと、その件もそこで終わった。
「では、今度はケンシン開発室部長に議題を回したい」
コウタ研究所長は、議題をここで譲ったのだった。
「あ・・自分の所に議題がこう早く回って来るとは思っていなかったが、では・・北海道拠点だが、マコト隊長、今後北極点及び、旧R国の探索に向かうと言う目標は変わっていませんね?」




