新章3 いよいよ
「では・・この件は、今まで通り7匹と言う事で第14班のみが任命すると言う事でよろしいか?」
「待って欲しい・・新たに第2子世代5匹が生まれている。自分も『頼=ライ』を加えたい。とても優秀な雄犬であり、コウタ研究所長、君も『晧=コウ』を加えたいのでは無いか?このような優秀な犬であるなら、積極的に活用すべきだ。はっきり言って並みの人間より10倍も役立つ」
「はは・・10倍とは、余程お気に入りのようだ。では、それならば、自分も『晧=コウ』を推挙しよう」
「ふ・・最初からその5匹のうち2匹が優れている事を承知で議題に乗せたんだが、あっさり流されようとした。では、もう一度議題に上程するがよろしいか?」
「異議無し」
ここで、2つの議題が決まった。恐らくコウタ研究所長は、危険な場所に『晧』を連れ出したく無かったのだろう。逆に『頼』を活躍させたいマコト隊長とは好対照になった。
「では・・ここで議題のあるコウタ研究所長にバトンタッチする」
シンは次の議題者に・・これがシンの言う公平な運営であった。
「では・・自分の提案を申し上げる。瀬戸内圏内の魚介類の調査はほぼ完了した。魚類300種、甲殻類25種、海藻類30種、貝類50種・・勿論今も潜水艇や、調査班により継続中ではあるが、ほぼこれまで日本近海で発見されている固有種がここで見つかった。そこで、ここから九州各地の海岸に移植する計画を発表したい。同時にキョウ班長による擬ガジュマルの木移植計画は東西日本の内、西日本の沿岸においてほぼ移植が完了している事も併せて、実行したい」
「異議なし」
そこにも異議は無かった。ここまでかなり計画性を持って実行されており、オオコウモリがそれにより活動範囲を広げる様子もなく、馴致オオコウモリが、かなりのウェートを占めて群れを統治し始めている事も含め、人間を襲って来る事は全く無くなっている。オオコウモリの棲息数も変わらない現状だ。今後そう増える事は無いのでは?と言う予想もある。その理由も明確だ。そこで安住し、食料が充足されていれば、種の法則として外来の敵に襲われる心配の無いので、子孫を増やす必然性が無いのだ。恐らく人間も、その法則の中に陥ったものと見られている。また東日本には気候無関係の大葉を中心に山切りの木も順応出来る事が判明し、その植林が進んでいる。動物も、その内にうさぎ、鹿を放す計画だ。犬や猪は当面人間に危害を加える恐れがあるので、放さない。




