新章2 見えない敵
「ところで、コウタ研究所長、君の見解を聞きたいがこのマイクロミストは、人体に有害な物も含まれていないかどうかだが」
「ふむ・・観察班がそれを吸い込んでいたらと言う話だね?勿論」
「ああ・・我々は、犬達がこれ以上近寄るなと言う嗅覚によって、靄には侵入していない。だが、観察班5名は侵入している。また電磁波の影響によって、幻聴や幻覚も起こしているのだろうと想像する。こちらの影響は?ケンシン開発室部長」
「あ・・それは俺が答えよう。もともと生体工学分野でもその脳内のバグについて研究して来た事とも重なる」
キョウ班長がそこは言う。
「聞こうか・・あ・・リン班長はあっちで、自分の思う事をやっているから気にしないでくれ。この会議内容は俺から伝える」
「ふふ・・良いよ。現地は現地の考えで、それもシン首班の指示で動くのが当然だ。つまり、その電磁波だが、余り長時間脳内に受けると、やはり異常を起こす可能性が高い。でも、今回は、靄の招待がそれだと分かっているので、強弱は分からないまでも観察班には、反磁力線キャップを装着して貰っている。それでも影響を受けない保証は無いものの、幾分受けたとしても軽減されるとは思う」
「そうか・・そこまで準備もしてくれていたんだな、感謝する。それでは、やはりマイクロミストの人体への影響を再度聞きたい」
コウタ研究所長は、
「これは、やはり確定では無いが、現地は鉱山であり、主に磁硫鉄鉱が多く産したと聞く。電磁パルス爆裂によって、その磁力を持った鉄鉱石がマイクロ粉塵になり多く浮遊しているのでは無いかと考える。その上で、これはあくまで自分の考えで根拠のない事になるが、もしそうであっても、シン首班達が今もあちこちに飛び回り、且つそのように精力的で健康にも何ら問題も無い事と、電磁パルス爆裂後の世界と、もっと深刻な亜硫酸ガス等の今も発生している状況下では、防毒マスクも使用した。しかし、その地域以外ではそのマイクロミストは濃密な一種の成分で無い以上は、空中に拡散され、また塵肺等も起こさぬレベルでは無いかと想像する。また我々の遺伝子も、知っての通り設計図や操作・MIX等により恐らく人体に有用なもの以外は排出するようになっている。これは、今完全食として提供されている食品が、動物本来には不要なものを輩出するような機能を備えているが、つまり大腸・小腸の役目がそれだが、その点において非常に古代の人間とは異なっている。なんだか人間をロボットのように例えてしまうがね、そう言う仕組みを変えてしまったんだよ。だから、体内にその不要なものが溜められ、どこかで排出すると思う」
「ほう・・」
声を真っ先に上げたのは、ケンシン開発室部長だった。シンは頷き、




