新章2 見えない敵
「はい。地下坑道があると言う何等かの調査は始まっていたのですね。理解しました」
「そこも、前面に出せない事情をお察し下さい。殆ど今までオープンにしておりましたが、今回のように初めての調査班の失踪と言うのは、隠さねばなりません、安否が第一の事。そこに雑音を起こしたく無いし、自分的論理・推理が、これまでのようにまかり通ると言うのは、本来成すべき事を混乱させますから。その辺を身を持って知っている我々なのですよ」
「はい、とても良く理解しました」
「犬達が、恐らくまた動いているでしょう」
「犬達?『戒』しか居なかったのでは?その『戒』は、今ケン班長と一緒に上空に・・」
「ふふ・・シン首班とリン班長には『銀』と『楊』が居ます。その『楊』は以前瀬戸内海洋研究所を発見した功労犬です。また『戒』と『愁』の第一番の子達の中では『銀』が既にリーダーとなるような優れた犬です。この2匹が一緒に行かない訳が無いじゃないですか」
「あ・・それも」
ケンシン開発室部長は、見事にシン達にその事も隠されていた事を知った。だからこそ彼らは元隠密班なのだ。
そのシンから、今度は幹部会に直接画像付きコメントが入った。所謂テレワークである。会議は何も5人だけで行われていた訳では無いのだ。
「靄の正体だが、分析はある程度できているか?」
シンが聞いた。
「ええ・・光の反射によって、粉塵のようなマイクロミスト状のものだと考えています」
ケンシン開発室部長が答えた。シンはすぐ、
「このマイクロミストと言うのは、電磁パルス爆裂後に発生したと考えるのが妥当ですかね」
「そのように考えますが、必ずそうであるとは言い切れません」
シンは頷き、
「会議の様子や内容は自分も把握しています。地下通信路の件は、前回行った時にある程度の目星はつけておりました。R国が経費の関連で放棄した時より、何本もの海底トンネルと、深い海底に地下トンネルを抜いた事は、資料が後から出て来ました。今3本を見つけて、犬達にそれぞれ潜らせています」
「そうでしたか・・」




