第一章 進の日常
守衛担当は、即その番号に連絡をすると、びっくりしたような顔で聖に振り返り、
「ど・・どうぞ!」
最敬礼で通用門を通したのだった。
しかし、どう見ても、地下通路と言い、この組織の異様な建築や、厳重な管理システムの一環が見えそうだ。しかし、シンが何をこの組織でやっているのか、また、どのような職種であるのかは全くこの場面では見えなかった。
「こんな・・例外なんて・・一体彼は」
守衛担当は、少し首を傾げるのであった。
シンは明るい空を見上げた。真っ青な空に白い雲が浮かんでいた。だが、かえってこの空の不自然な明るさは、どうだろうと思った。彼には本当の空がどんな色なのか、良く分かっていたからだ。
そして歩調はゆっくりと、だだっ広い通りに面して歩いて行くが、すれ違う人々は皆無であり、一台の車でさえもそこには走っては居なかった。
「ふう・・・」
何故か溜息をつくシン・・
この間、若山が血相を変えて走ってある一室に辿り着くと、彼の到着が分かっているように、すうっと扉が開いた。そして、すぐ閉じる。つまり、若山の行動は既にその部屋の訪問を予期していて、到着タイムまで正確だった事を意味する。