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シンカラス  作者: 白木克之
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基地

「シン君達が構築されて来た前線基地が、効力を発揮し出した。もう少ししたら、8通路が完成する。すでに5キロ放射円状の前線基地・通路が完成したも同然だ、良くやってくれたね」


 シリマツがそれから間も無く、その言葉でここまでの活動を総括したのだった。

 だが、前線基地が構築出来たとしても、それは囲いが増えただけの事。食糧の問題や、多少の成果は出たのかも知れないが、あれからオオコウモリの捕獲は、なかなか出来なかった。つまり、知能が発達する上に、彼ら同士の超音波信号によって、少し危険なものを察知し、今まで君臨して来た王国に何者かが攻撃をして来ている事を、伝達し合っているのだろう。捕獲機と言っても粗末なものだ。たまたま高速吹き矢も効力を発揮したのだろうが、オオコウモリに攻撃をさせず、こちらも怪我をさせず、無傷で捕獲するのは容易では無い。幸いにして、あれからも危険なウイルス等は確認されてはいないものの、襲われれば、幾ら身体能力の高いメンバーであろうとも倒されるに違いない。それだけのまだ武器は、こちらも完成はして居なかった。ただし、火薬はカーバイドを含め、数種はもう作られているので、爆薬を持ってある程度闘う準備は出来ている。かと、言ってオオコウモリをせん滅せんが為の目的では無い。自分達を守るべき手段としてであるし、その数量は微々たるものだ。


「前線基地に、これまで見張りも置かず、ドームと往復をしながら実動を行って来たが、食糧とシュラフを用意し、交代でこれら8か所を監視する事にする」

「おおっ!」


 これぞ、本当の実践活動と言うものだ。彼らの真骨頂とは、諜報部隊に近いミッションなのだ。あらゆる情報を集める。その為に色んな提案をして来たのだ。

 12人しか居ないメンバーだ。8か所を監視するには足りない。だから、それぞれの生物班、化学班、分析斑より、2名ずつが初めて実行部隊に加わる事となった。これまでに無い陣容であり、新たな行動班が始動するのだ。勿論、実行部隊は彼らの安全を守護する為に監視をするし、昼夜を問わずの監視体制は、更にメンバーも加わる事になると言う話だった。それぞれがローテーションをし、1か所には留まらず8か所を回って行くのだ。

 これは、そんなに楽なものでは無いと言う事は、想像に難くない。人数的に相当厳しいのである。そして、確かに燃料駆動の機械は動いているが、ドーム外には通路であっても一歩でもあれば、電気的操作は無効になるのだ。機械は単に進む、後退するだけの機能だ。そして人力による操作だけ駆動するのだ、自分の意志で動く事は無い。それに対して、まだ地下坑道の話は十分聞けていないのだが、地下ではその電気信号がある程度可能だと言う事だ。そんな疑問も、少しはシンにもあったが、現実はその疑問を解決して行く余裕は無かった。実動班は確かに好待遇だ、しかし、危険な前線で活動し、その身体的な高いスキルも要求される。彼らを守護する目的が加わったのである。その中で、不満は無いものの、少しこのローテーションに意見を述べる者が居た。ショウであった。ショウの容姿は、金髪の美女と紛うばかりに美しい。しかし、その内面は剛直な芯を持った男性そのものだ。もう一つ容姿の事を述べるが、この100年前の時代には、ハイブリッド化が進み、民族的な容姿による見極めは困難になっていた。日本人と言う純血は皆無と言っても良い。それだけ地球規模でハイブリッド化が進んでいたのである。何故そんな話がここで出て来るのかと言えば、ショウはこの時代においても、やはり外見的な美しさが際立っている。つまり、女性の姿が実動班には皆無だと言う事からも一人も居ない中で、どうしてもそう言う眼で見られてしまう部分がある。彼は慣れているから、そんな事は気にはしていないが、中には新たな事務系のメンバーが、異性と見て色眼を使う事があった。勿論、自分の使命を忠実に遂行しようとしている彼には、些細な事に過ぎないのだが、実動に支障が出る事にはきつく対応する場面もあった。


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