新章 新世界
「ああ・・いきなりだ。シンがオープンスタンスでやって来た事が、或る意味がんじがらめの組織の規律で育って来た世代に、真逆の心理を与えた。実は、その辺を上手くコントロールしていたのがシリマツ官吏だったんだよ、今になって思えばさ」
「功罪あると言うのか・・」
シンも少し感じ始めた事が、このやはりMSI飛機の開発と地下通信路によって、一気に開放感が蔓延してしまったらしい。やはり組織として機能するのならば、厳格では無くても良いが、規律部分をはっきりしとかねばならないと言う事だ。それをシンは、やはり神野元老と黒川主査に担って貰おうとこの場で決意した。こう言った整備をして行かねば、シン達のやる事成す事が成功していて、どんなに苦労し、命がけの事もやって来て現在があるのか、何も知らない輩が曲学阿世のような言動を発する。現在の21世紀においても、知ったかぶりの浅い知識を振りかざし、評論する。評論家などがその典型だ。何も自分が責任感も負わないし、言葉遊びを楽しむかのような者達だ。それがダンの気持ちにも強く込められている。現実とは前述のように、そんな簡単な訳が無いのだ。どの案件も簡単に処理して来た事柄では無いし、シンがスーパーマン的なトップに祀り上げられるのもまた違うと思った事だった。
「今、お前だけに伝えた。2人はまだ動ける。現役で居る限りは顧問のような形で隠居して貰っては困るな、そう言う部分で俺から話す」
「分かった、しかしケンシン開発室部長は、即お前の言葉を理解し、実働に関するオープン開示は停止したんだよ」
「そうだったのか・・じゃあ、俺達がT国第4森林で死角に入ってこしょこしょ話をしたのは、気を回し過ぎたな・・はは」
「シン・・その部分を、こそっと後で俺にも言え」
ははは・・シンとダンは流石に組織の現№1と2である。その辺はがっしりと連携し合っていた。
キョウが今回は主となりシンと話をする。シンは一緒にT国探査した外4人に、休暇を与えた。自由にしていて構わないと心の休息を与えたのだ。今ダンと話し合った事も含めて、MSI飛機に乗りたいなどと申し出る者が居るなんて、とんでも無い事だ。まだまだこれは改良継続中なのだ。そして、それだけの身体能力を持つから乗れているのだと言う事を分かっているのは、実際乗った、シン、ダン、ケン、ラン、ショウ、リン、マコト隊長だけだ。コウタ班長やケンシン開発室部長が移動する同じような機種は正確にはMFeカーと言い、高速では動くが地上高く飛ぶ事は無い。リニアカーのような地上10M浮遊のものだった。
「シン、まず分析結果から言う。みみずは旧第1ドームで繁殖させていた種と全く同じだった。つまり、今はみみず飼育場として建設されている個体と同じ。ただ、異様に大きいのは、やはり高栄養素の餌によるものだろうな。こちらの飼育場では種々の肥料を与えているが、最近はリン班長考案の大葉の肥料が、かなり有効で個体も大きくなっている。それをみみずが体内に摂り入れ、土に還す。その土がまた肥料にも転用出来るので、四国での大葉移植と、擬ガジュマルの木栽培計画にも利用しかけている所だ」




