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シンカラス  作者: 白木克之
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新章 新世界

「マコトにい、何かここまで見て来た中でその話に繋がる根拠があるっすか?」


 シンが尋ねると、


「うん、そこだがあくまで仮説に過ぎない。ただ、白頭のT国飛来は紛れもなく電磁パルス爆裂後・・以降だ。そして、その時にみみずが居なければ、何の為に飛来する?猿人を喰うのにしては、すばしっこいし、知能も高い、今の所生息数もこんなに少ないとは思っても見なかった。そこまで食とするのは、かなり無理がある説だなと今では思っているからな、と、なると擬ガジュマルの木を移植したのは、和良司令官かT国の者となる。いずれかしか居ない話だろう?」

「成程、消去法で来ましたね。だけど、和良司令官が指示し、擬ガジュマルの木の枝をオオコウモリに運ばせたとしたら?第3の方法が出て来ます。尤もその場合は、和良司令官と言う事になりますがね」

「そうか、そうだよな。ただ、その場合は既にT国健在の時に擬ガジュマルの木を入手している事が前提だが?」

「言える事は、擬ガジュマルの木は、海水だけでは育たないと言う事です。つまり、色んなミネラルが海中に溶けている前提が居る。このT国内陸には塩湖があって、もともと塩分濃度の濃い所ではありますが、その濃さなどは殆ど無関係です。擬ガジュマルの木は原種が元々海辺に生える植物であって、浅い泥底の海に根を張り、増えて行く種ですからね、それを品種改良したのは、確かにT国が21世紀に眼をつけたものですが、その頃は日本とも交易があった訳ですから、独自に品種改良をしていても不思議はありません。むしろ、和良司令官が改良したのなら、果樹の生る木としての価値でしょうから、こんな情報等はオープンにしても何ら差し支えありません。成功すればその技術を盗めば良いのです。人が居ない時代には、逆にそう言う相手に何かを意図的にさせる戦術もあろうかと思います。更に言えば、どちらが先か?勿論擬ガジュマルの木は、今言った点において、後で無ければならない。地球上のあらゆる鉱物、植物・建造物・製造物・動物・微生物・ウイルスに至るまで、全て微小の粉末になったと言う点です。これ程強烈な電磁パルス爆裂等誰が想定し得たのか、もう和良司令官以外には存在はしません。言い切ります。となれば、擬ガジュマルの木が日本から運ばれ、その成長と共に猿人も試験的に放たれた。そこまでは良いですか?もう屈解しないで頂きたい。我々はその事を実証して来たと言う事です」


 シンはマコト隊長に、少し強めに注意をした形になった。もう既にそう言う立場である彼に、日頃は慕ってその性格に尊敬もしているシンだが、迂闊な言葉が周囲に影響を与えると言う事を示唆した訳だ。それが分からないマコト隊長では無かった。


「あ・・訂正する。その事は既に立証されて来た事だった。我々は、今からそのみみずのDNAや遺伝子については結果が出るだろう。つまり、それを調べる為には必要な事をまず確認したいと思ってね。うん、既にT国が大国では無くなっていたと言う事実がそこにあった訳だ」

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