新章 新世界
「いや、調べる程の事じゃない。食の栄養学と言うのは、随分昔から確立されて来た事だし、ケン、興味は無かったかも知れないが自分の食べているものが、どんな栄養構成であるかの疑問なんて無かったか?」
逆に質問を受けるケンだった。
「いや・・俺達って、誰もが同じ食事で同じ量を出されていたじゃん。だから、個人差があって、俺なんかは体も少し大きいほうだし、もっと欲しいと要求は何度もしたけどさ。だって、食事ってDVDなんかで見る過去の美食?何だろうなって思っていた位だ。逆にそんな興味が無かったか?の質問に再質問をしたい」
「はは・・良いよ、もう。人間にとって必須の栄養素と適度な硬さの加工食品で、たまにソーセージとか肉系のものが出る。みみずはそのソーセージに入っていた。完全養殖と言うか、今からここを見て調査もするんだろうから、大きさは想像して見ろ。5万人の食事は一日に2回だが、それが10万食だ。ほぼ毎日入っている。相当栄養素も豊富で含まれているとは想像出来るし、大きさもかなりあるんだよなって程度に思っておけよ。それだけだ」
「ち・・最近偉そうにものを言いやがる。良いよ、これから調べるんだからな、4人でさ」
ケンは以前のようにショウが、返して来ないので、不満顔。ランがにやにやと笑っている。この2人の情報量には到底、ケンは適わないのである。マコト隊長は、他の事に興味があるのか、殆ど聞いていなかった。そこへ『戒』が何やらでかい獲物を仕留めたか引きずって来た。
「おい!『戒』お前何を・・ひ・・ひえっ!」
それは直径で、大人の太ももクラスの長さが2Mはあるような大みみずであった。
「あは・・あははは。ケン、良く見ろ、それがみみずの正体だ。凡そ10キロはある。良く『戒』も、ここまで引きずって来たよなあ」
笑っている所に、やっと気づいたマコト隊長。
「うおっ!何それ!うわああ・・」
咄嗟にと言うか、見た事も無い大きさと真近に見る大みみずだ。他の3匹の犬達も戻って来た。彼らはみみずを引きずっては来なかったが、果樹を喰ったのか、口の周りがびちょびちょになっていた。恐らく美味しいのであろうが、落ちている果樹は食わないから、その跳躍力でぶら下がっているものを採ったのだろう。この森には猿人は居なかった。




