未来とは
少し怒りの矛先がかわされたようだ。確かに浮かれるな、たった一つの成功で全てが上手く行ったように思うなとは、リーダーだからこそ言える言葉だ。エライ班長は、この場では発言はしなかった。
しかし、今回の捕獲が大きな貢献をした事には間違いない。そして、シン達の構築物がどんどん設置されている事にも、今度はエライ班長が多いに褒めたのだった。
「一歩だ・・我々は一つに勝利した。しかし、どんな攻撃・反撃・又今シリマツ君が言ったような予期せぬ不安や脅威も待ち構えているかも知れない。気を引き締めてくれ。我々の指令が間違いだと思えば、どんどん指摘をしてくれ。君達がこの行動隊のリーダーなんだよ、一人一人がね。私もシリマツ君も、君達のトップでありながらも、絶対服従の体制ではいけないと強く思っている。皆で困難に立ち向かおう、知恵を合わせて!」
「おう!」
これがやはり真のリーダーだ。シンは2人の部下で良かったと思った。見事にチームはまとまっている。優れたリーダー達によって。
ランがシンに言う。
「やっぱり全然違うよな、俺達のリーダーは」
「ああ・・俺には何度もリーダー要請が来た。でも、2人を見ていると、エライ班長は無駄な事は言わない。平然とし、必要な事を細かくシリマツ官吏が指示している。けど、上から目線の命令じゃ無いんだ。自発的な発言や、知恵を貸してくれと俺達と同等の視線で喋ってくれている。これは、非常に良く出来たチームだと思うんだよ」
「それは今までの経験上でな・・だが、今は、これだけのメンバーが揃っているんだ。それに俺を最大限に評価してくれている。何か嬉しいよな、こう言う信頼関係ってのは」
1匹狼的な個性のあるメンバー達だ。しかし、不思議とシンを中心に集まり出し、互いの能力も高い事が分かる。そして、相談し合い、知恵を出し合っているのだ。それも自然に・・。
それから3日後、初めてシン達は、荒井薫副主班に招かれた。初めて生物研究班と言う部署の中に入ったのであった。これも異例の出来事だった。
「良く・・我々をお招き下さいました」
シリマツ官吏が深々と頭を下げた。
「何を仰います。今日はエライ班長の号令下、この件について会議にて決定し、シリマツ官吏以下11名がここへおいでになりましたが、我々生物班が所持しているのは、全て前時代の標本に過ぎません。それも全てデジタルデータか、ホルマリン漬けの標本だけです。オオコウモリのホルマリン漬けの標本は、かろうじて一体、この生物班にありましたが・・」
「あったのですか・・知らなかった」
「いえ・・それでも、実際剥製では無く、生物兵器として開発・改良される以前の個体です。このように、オオコウモリの生きた標本は、我々に貴重な捕獲として深く感謝致します。しかし、いずれこの個体も死ぬでしょうから、それまで徹底して調べたいと存じます」
「死ぬ?生きたまま飼育は無理ですか?」




