新章 新世界
「ラン達は出発したか?」
「ああ・・見送って来た。今度は犬達もお供だ。尾を振ってついていったぞ」
「ははは・・もう成犬。無茶な事はしないと思うが、そろそろ『柳』も適齢期、雄候補を探しているんだが、あいつに見合う雄はざらには居ねえわな、ははは」
ケンはのんびりとした会話で、この日は久しぶりに話をするシンと笑顔でそんな話題から始めたのであった。
「ふふ・・何しろ突発的遺伝子を持つ、奇跡的な出会いで『戒』と『愁』は出会った。野犬の中にしか婿候補が居ないんだし、なかなか難しいよな。それにその婿が『柳』と一緒になっても俺達に牙を剥かれたら、それも大変だよ」
「そうだよな・・少なくても『愁』は野犬のボスであっても、俺達にすぐ馴染んだ。まあ、『戒』と『愁』」の子達も、かなりやんちゃだったが、そろそろ希望している者達の相棒で、活躍を希望はしないが、良い関係になってくれれば良いな。本来は外で危ない事をさせたくは無いんだよな」
「ケンの言う通りさ。俺もそう思う。ペットとかそう言う形じゃなく、友達って言う形で犬達と共存出来ればな・・で、かなり森林も充実して来た。そろそろ動物達を四国や本州に移住させるかと言う計画もあるんだが・・」
「シン・・俺は時期尚早だと思うな、確かにその方向は分かるが、その事で一部の動物がわっと増えたり、逆に害を成したり・所詮動物世界は食のピラミッドを形成し、均衡を保っている。兎や鹿が増えれば、食害を必ず起こすし、それで天敵を放せば今度はその人間にも襲って来るような外敵が増えて来る。オオコウモリも移動してくるだろう。今は頭金も飽和状態ではあるが、何時この形式が崩れるかもしれない。勢力争いが、棲み分けが出来ない間は勃発するんだよ。それについては人間も同じなんだけどな・・この計画は、勿論安易では無いと思うが、余程慎重にしないと混乱をもたらすし、既に四国にそれを放っても陸続きの本州にもあっと言う間に生息圏を広げるだろう?九州でセパレートされていたから、118年間にこう言う食性ピラミッドがどうにか出来たんだよ。俺達は敢えてその動物達のピラミッドを干渉していないだろう?鹿は捕らえたが、あくまでも自然とは違う環境の中で、増殖させ食料にもするんだが、その生態系には大きくは干渉していない」
「尤もな意見だ。拝聴に十分価する話だな。キョウ班長の趣旨としては、やはり小鳥とか、産業資料館に保管されている動物達のDNAを培養し、日本の固有種の復活を考えているようだが、その前にやる事は、人間の人口の復活が必要だよなあ・・動物達を増やして、びくびくしながら生きて行くのも嫌だし、地下通信路があるとは言え外の青々とした太陽の下で暮らしたいよなあ、特に第14班はそっちの希望が強いからさ、ははは」
シンは笑う。穏やかな顔であった。ケンは、




