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シンカラス  作者: 白木克之
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新章 新世界

「ははは・・そうか、MSI飛機で、大陸を見たいとランが言ったのか」

「ランの奴は、色々屁理屈ばっかり並べやがってよ。好奇心の塊なんだからさ、危なっかしくて怒ってやったのさ」

「でも、今聞いた範囲ではあいつも結構色々調べているじゃないか、老化停止食材って言うのは、確かに有効だ。でも、もうキョウ班長が研究中だろう?それは」

「リン、お前見たいに、色んなセクトに出向いて話をしてりゃ、一つの情報だけに固執しやしないんだが、あいつの場合は食いついたその点だけを、徹底してこれは良いって決めつけるからな、危ない、危ない。実践で一番危険なのは、ランだ」

「ふ・・でも、そこまで調べられるランも大した奴だがな。まあ、シン以外にあいつにそこまで言える奴は居ない。一番危ない生体だって言うのになあ・・」


 リンが苦笑した。それは何故か?襲っては来ないし、植物のような生体で、不気味ではあるが・・?


「そこだよ・・あの生体があそこまで巨大になっているのは、アナコンダのような成長遺伝子じゃねえ。無限増殖細胞だって言う事を全く調べても居ない。勿論、今どうにかそれが分かって来た所だが、ランの立場であれば、キョウ班長も抵抗なく教えてくれるし、俺達にだって聞かれれば教えてやれるが、最大の短所だよな、その点は」

「それが土竜エイが食すると言う部分まで追求しているのは、大したもんだよ。俺だって最近聞いた話だし、今言う若返り効果や、老化停止食だと言う事も独自で調べて分かっているんだからな」

「うん、それは認めるが、その先だ。だからと言って腹満腹に食べりゃ良いってもんじゃねえ。土竜エイが腹満腹を超えて、無限に食い続けたらその形態が変化すると言う部分も、今研究中だ。細胞変化が何故起きるのかって言う部分と無限食欲も、そのクラゲ状生体だけに関してだからな、それがあるなら魚介類なんて食う必要性は無いのにそれも食っている。また自分達が白頭に喰われている。今その白頭も全滅もしていないんだろうが、すっかり見えなくなった。リーダーが居ないんだから、恐らく共食い、共食いで数を急激に減らしているんだろうが、どんどん調べなきゃいけない事が山程出て来ているんだよ」

「そして、例えば土竜エイも、しょっちゅう食っている訳じゃ無かっただろうし、つまりそこから逃げ出した?海流に流された?かどうかは分からないが、佐賀の海に浮遊しているって事だな?今もなお」

「ああ・・調査は続行中だ。確かに襲って来る事は無いが、ずっと浮遊中で、今言う組織を切り取ったら、数日の内にその部分は修復され、逆にその部分から枝が延びるように吸盤見たいな足が生える」

「本当に不気味だな・・これをもし食料にしたら、無限的に供給出来る食料になっちまうけど、海が幾ら広大であるとは言え、ふうむ・・ならさ、例えば瀬戸内海なんか埋めちまうって事か?」

「まさかなあ・・どこかでストップはすると思うが、植物風の生体なら、擬ガジュマルの木の海洋生体版って所じゃないのか?これは、もっと調べて見て、海中に実でも成ってりゃ、そっちの方が興味あるがなあ」

「あ!シン・・なら、それをランにやらせろよ。俺もそれを調べたい」


 リンが眼を輝かせる。


「おっと・・焼けぼっくいに火をつけた?リンまで興味を示し出しちゃったぜ」


 シンが苦笑い。


「はっはっは!それ!面白い発想だね。是非、探索して貰って!」


 キョウ班長が高笑い。シンはケンシン開発長の所にそれから間も無く相談に。


「成程・・潜水艇ですか。作業まで加えるとなれば、今のMSI飛機では勿論だめでしょう。空気の抵抗で海の中は潜れません。また動かす動力そのものがありません。どうでしょうかね・産業資料館には大型の潜水艇とか、潜水艦のようなものなどはありませんが、深海海洋艇と言うのがあります。運ぶのは、かなり時間が掛かりますが、地下通信路で電動車の台車で運び、その潜水艇に少し装備を付けたしましょうか?稼働テストもやらないといけないし、少し2人乗り用は大丈夫ですが、かなりの旧式ですからね、操作が」

「あ・・それは海の中に入る前にランを派遣します。あいつは恐らく1日も掛からないと思いますし、もし何かあった場合のアクアラングも詰めるのなら、今まで俺達はそれを使用許可していなかったので、練習もしとかないと、もしもの時の脱出も必要なんで」

「分かりました。お2人なら、恐らくすぐ使いこなせると思います。じゃあ、瀬戸内海で先に訓練をやるでしょうから、用意しておきます。そっちはすぐにでも」

「お願いします。ふふ・・言い出したら、聞かない者達なんで」

「はっはっは!でも、その行動力と好奇心は見習わないと・・私の方はMSI飛機の用途別を今後の改良します。やはりGをどうにかしたいですし、海底・海中探査用・・すぐそちらも検討したいと思います。何となく出来そうな気もして来ましたよ、それ」は

「え!もし、そうなら一気にまた探索が広がるかも・・今回は是非不明生体を突き止めたいです」


 シンは、もう動いていて、黒川主査や、コウタ研究所長、数人と相談の上、ランとリンを呼んだのは、そのたった1週間後の事であった。

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