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シンカラス  作者: 白木克之
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新章 新世界

「おう・・」

「つまりさ、突発的遺伝子と言うのは、まだ進化出来得る可能性であって、通性つうしょうと思われている遺伝子ベスト50が到達点では無いと言う事だ。和良司令官は自分の天分を勿論一番であると自覚しているし、その突発性遺伝子の頂点として考え、これを継承出来る方法を模索した。それが不老不死・再生遺伝子なる自身の完全体なる培養であった。これが最終到達点であり、大地震や大津波の起きる何千、何万回のシミュレーションの中で、一番安全なる場所に最終的には研究所を移し、そこで最後の培養を行った。誰にも邪魔されず、どんな状況になっても、そこで電源の確保を出来得る環境も整えてさ。それが瀬戸内研究所さ」

「ああ・・それは分かっている。実際に見たんだからさ」

「そうだ、その前に神野元老は死んだと言う情報にて、和良司令官はやっと自分の事を知る最後の者も居なくなったと安心した。その場所を知る者はもう居ないんだからな、そして封印したんだ、確かに。その研究所は誰にも到達出来ない」

「あ・・そうだ。そこも先に聞いておく必要があったな、聞いとくよ、それなら」

「それこそ、リンが見つけたと言う海底のコブだ。和良司令官程の人物でも通信路の全ては知らない筈だ。何故なら和良式光ケーブルは全世界を網羅していても、それが自身が廃棄では無いが、今は大量生産され一端不使用となった旧和良式光ケーブルが、どこまで使用されていたのかと言う把握は出来ない。出来ないと言うのはAIがその時管理をしていた時代だからだ。和良式新光ケーブルがそのデータをダウンロード出来たにしても、もうその時代の中央管理システムのメインAIは、稼働していなかった・・ここが盲点さ。旧和良式光ケーブルの埋設位置データは、カード挿入のAIBOXでは見えない・と言うか、それはもう新光ケーブルになっているんだから、見る必要は無いだろう?」

「あ・・そうか、そうなるよな・・それが上手の手から水が洩れるかあ・・」

「そう言う事なんだ。だから、その瀬戸内海洋研究所については、リンの位置情報を基に、エライ首班を通じて神野黒服に伝えた。ずっと黒川主査がそこに居たように演出をしていたが、エライ首班=黒川主査なんだから、少なくてもこの2年はこっちに居た訳だ。封鎖されていないと言う事になる。神野元老はこの2年近くそこに身を隠していたと言う事さ。灯台基暗しだろう?一番見つかりにくい場所だ。情報を一番知る立場のシリマツ培養体も完全に騙せていた訳だ。で・・その話の続きで、そう言う癌細胞や突発性遺伝子の発生を頂点だとして、そこで決めつけたら駄目だと言う事になってしまう。成長を止めた遺伝子は、そこで自らを滅ぼしてしまうんだよ。和良司令官は、オートファジーの遺伝子の研究を白頭でやっていた。それは損傷を受けた際に、自身の培養体を喰うと言う事だ。それによって失われた自身の物質的損傷が補えるとね、つまりはこの*完全体が完成したら、シリマツ培養体を喰うと言う事さ」

「うわ・・そこまで行くとなあ・・」

*後に現実になる

 ダンが眉を潜めた。おぞましい話だ。人間が人間を喰うなんて・・どこかの種族や過去にはそう言う話もあったらしいが、同種喰いは禁じ手のように思える。違和感しか無い。

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