第五章その二 とうとうここで正体が!
「分かったと言えば満足かね?私が屈服すればそれで君は満足かね?私がどんな実験をここでやっていたのかも知らずに、君は私のやって来た事を、今全否定をした」
「ふう・・言っても無駄ですか?じゃあ、爆破しましょうか・・俺達は良いですか?目標の見えない世界はもう嫌だ。そんなもし貴方の言う理想郷が完成したとしても、永遠の命も欲しくは無いし、望みも無い・・皆・・どうする?」
ぽろぽろぽろと・・全員がここで涙を零した。シンの必死の訴えも、もうこの男には通用しないのか・・そして、そんな研究など知る必要も無いと思った瞬間から、彼らは一抹の希望が消えたのである。マコト兄も、画面でぽろぽろと涙を零し、
「シリマツさん、痛かったでしょう。乱暴な事をして済みません。貴方の体については再生手術をお願いしております。俺達は・・ここまで必死にやって来ました。ですが、一縷の希望も持っていたのです。それは和良司令官が、もし・・もしも我々に手を貸して下さり、先に進める助言をくれたり、希望を与えるものがあればと・・俺達は分かっているんです。この世界は、どんなにあがいても、もう先が無い。人工繁殖の必要性を貴方は訴えた。しかし、そんな事はコウタ班長も、実は分かっていた。無理だった・・このドームが後何年持つのかご存じですよね?もう5年も、持たないんです。それを失ったら、俺達は野外で生活を余儀なくされる。数十年は生を保てるかも知れません。ですが、そんな世界で過ごしたくありません。次々と人が亡くなるのを、俺達は、最後を・・看取りたく無いんです。皆その考えです。一人一人に聞きました。総意だと言う事ですから」
「そうだった・・のか・・そこまで準備を・・」
「シンと言う男は、そこまでやる者なんです。最後まで貴方達を排しようとは思わなかった。貴方達のやって来た事は、許せませんけど、俺達にそれを裁く権利は御座いません」
この言葉も、シン達の場所に映し出された。
「シン・・俺達はここで一緒だ。共に逝こう・・」
「と・・言う事です。良いでしょうか。俺の言葉はもう全部伝えました。ですが、個々の案件、微々たる疑問には全ては答えられません」
「全てを破壊すると言うのだな・・そして全ての準備もして、この場を作った」
「はい」
「・・もし私がそれでも、なお抵抗しても、道連れだと言うのだな?」
「そうです。貴方の犯した罪は消えません。ですが、言われている事は真実なのでしょう。そうすべき誰かがボタンを押したであろう事を、貴方が行った。そしてもし、そうなれば、今マコト兄と呼んでいます。自分達の言葉を全て語ってくれました。自分達は感情を隠しません。母も父も知りません。自分達に身内と呼べる者はこの仲間達だけです。死ぬ事も恐れるなと言う教育を受けました。死ぬ事など怖くありませんでしたが、エライリーダーに出会って、神野黒服に指導されて、今は仲間と別れる位なら死を選びますが、彼らが必要とする時には、自身の全霊を賭けても守ろうと思います。そして、死ぬ時は一緒に・・それが最後の言葉です」




