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シンカラス  作者: 白木克之
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未来とは

 問い直したのは、カイだ。

 しかし、即答があった。


「うん、言い切れる。何故ならば、改良されて開発された日本の生体武器が、当時の世界最強と言われていたからだ。それは個体の強さでは無く、生命力と統率力の高さだ。更に知能が非常に高いのだよ」

「でも、他には、霊長類も或いは海にはイルカ・シャチや色んな生体武器も考えられのでは?」

「考えられるね、それは勿論だ。だが、これも先に私は申し上げた。日本が開発・改良した生体武器は一種では無いと」

「え・・ああ、はい。聞きました」


 確かにシリマツはそう言った。


「そのどの種も、この範囲内に見かけなかった」

「で・・でも、たった5キロですけど?」

「ふ・・ふふふ。5キロもあれば十分じゃないか。その範囲に居ないと言う事は、生体武器として既に消滅したと同然だ。何故ならと言う言葉も聞きたいか?」

「いえ・・また、ドームに戻った時に資料で下さい」


 シリマツの自信のある言葉に、粘っていたカイも引き下がった。確かに納得した上で、行動したいと言う考えは理解出来る。しかし、今はそんな疑問などは小事なのだ。もっと先を見なさいと、シリマツも言っている気がした。

 そして、シンは当然自分が動いて来た工程を脳裏にインプットした。当時当然デジタル管理で、AIが21世紀に登場したように、動作を積み重ねる事によって学習して行くデータによる分析は、とっくに人間などでは太刀打ち出来ないレベルに到達していた。しかし、それすらも無い。現ドーム内のシステムでは手動式の旧式だからだ。中央管理システムからデータや指令を持って来られないからである。実務的な作業や、21世紀初頭レベルのデジタル管理が、やっとの事で、PCの更新も出来ず、旧態依然としたシステムを、どうにか運用しているだけなのである。既に相当の老朽化が始まっており、後10年も絶たない内に大半が使用不可になるだろう。そんな時代にシンのような才能は、貴重な戦力となる。他にも優秀な者は勿論居るが、この人材の枯渇をさえ危惧しているのである。もし、その施設のいずれかに人間が生き残っていれば、それだけでも大発見となるだろう。


「オオコウモリのサンプルはどうですか?必要なら採りますが・・」


 マコトが言った。確かにその姿をはっきりと見た事は無かった。しかも、生態系の今頂点に居るキングを、弱い立場である、人間マコトが採ると言ったのだ。どんな目線で大言壮語を吐くのだろうか、少し隣に居たカイジが、


「マコトさん、採るって簡単じゃないっしょ?」


 一応副リーダーだから、年は近くても、さん付けで最近は呼ぶようにしている。


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