第五章その二 とうとうここで正体が!
「うおっつ!マコト兄が撃ったぞ・・」
シンも、眼に少し動揺が・・苦痛に顔を歪めるシリマツ培養体の顔がアップに・・
「ぐ・・くくくぅ…な‥何故こんな事を・・」
シリマツ培養体の右腕は、その銃によって吹き飛ばされていた。
「何と言う事をする・・間違った判断で、負の判断をしたのは、君達では無いかっ!」
初めて和良司令官が、その表情を怒りに変えた。
「やっと・・貴方の感情が見えましたね、和良司令官・・いいえ、とても正しい判断をそれも冷静に下したと思います。マコト実行部隊長はね」
「何だと・・」
「自爆装置ですか?それとも、この瀬戸内海洋研究所の爆破装置ですか?右腕の中に仕込んでいましたよね、その起爆装置を・・真っ裸にしたのは、こちらの装置が旧型でしか無く、鮮明な体の画像を撮れなかったからですよ。この後に及んでもまだ貴方には隠し事が存在し、最後の最後まで仕掛けを用意されている。無慈悲だと思いますか?思いません。痛みを感じるだろうと言われる。しかし、その痛みを感じる者達を、大義の名の元に、A国はその昔我が国に核爆弾を投下しました。人体実験の為です。貴方の考えは、まさにそれであり、自分達の利益、既得権益しか考えぬ利己主義です。だから貴方の脳裏には、恐らくある感情が支配していた、敵国T国、A国を真っ先に排除すべきだとね」
「それは、そうだと君らも恐らく理解するだろう?やらねばやられる・・それは戦時の掟だよ、それが攻守が逆転しようとも同じ事だ。より既得演繹を持った者達が社会を牛耳り、世界を牛耳る。だからこそ、戦争は止まない。この状態を作ったのは誰だ?閉鎖的社会の中では異性への感情も薄れる。生殖本能を失い、感情を失う。結果自分と同等の者達のみと接触し、同性との感情に走る。今シリマツ培養体と君は名付けたが、言った通りの世界だった所から、それこそ血の滲む努力と研究をして、ようやく数億、数千億の組み合わせの中から遺伝子の特性・相性を発見しながら、そう言う遺伝子工学が発展して来たのだ。それを軽んじては、君らの存在こそを否定する事になってしまうでは無いか」
「ええ・・その通りですよ、恐らく貴方の言う事は正論なんだろう。だが、貴方は神か?選ばれた執行者なのか?そんな決定を誰が与えたのか?自分の理想とする所の世界へ導きたかった・・全てはそこにある」
「論戦を拒否すると言うのだね・・そうか、そうならそれで良い」




