第五章その二 とうとうここで正体が!
「そうだ。その中で本当に神が居るとするならば、その協調の必要性を認識し手を組み、この現状を打開するしか無かったのに、何もしなかった。いや、もはや後戻りの出来ない世界になっていた」
「もう一つ教えて下さい。世界の本当の人口はその時何人だったのですか?」
「全世界で1億人を既に切っていた。21世紀に続々と流行した未知のウイルス変異で、対処の遅れた人間は、約その時に半減した。ワクチンも間に合わず、それぞれの国が暴走したのだよ。聞いた事があるかね?そう言う過去の汚点を隠そうとしたのが、政府と言う組織だ」
「知りませんでした・・では、その半減した時の人口は?」
「80億人から40億人になった。そして、環境汚染によって生殖機能が著しくその時代から落ちたのだよ。22世紀には、もう世界の人口は10億人を切っていた。そこまでの汚染によって、人々はAIやロボットを活用し、働かなくなった。食事も殆ど今も改良されているが、完全食となり、そして免疫力を持つ、優性遺伝子の発見に傾注して行く」
「そんな状態になっても、まだ抑止力ですか・・ふう」
「その時代になると、いち早く高い技術の開発が必須。当然情報集力の勝る国が世界の主導権を握るのだ」
「愚かとずっと俺達は言い続けて来ました。まさに・・」
「誰もが分かっていた。それは個々の君達が言う倫理観であろうが、もう少し補足しよう、人口減の要因を教えてあげよう。その要因は、環境ホルモンの増加・所謂同性愛者の増加・未知のウイルスが変異し、3度、4度流行した事にあった。これはA国がずっとT国由来と非難していて、とうとう最後にT国壊滅作戦に出てしまった。愚かな大統領が感情爆発をした結果だ。確かにそうなる伏線はあった。最初は南西諸島の奪取から始まり、科学戦争では無く、銃弾が飛び交う争いが継続的に起き、そのT国のやり方に業を煮やしていた近隣諸国が加担、とうとう第3次世界大戦の様相を示したのだ」
「もしや・・」
「私はその先を説明する前に、シン副首班はもう感じたようだね。そうだ・・先手を打ち、両国のAIを破壊したのは、この私だ。光ケーブルが発する光分子は、高濃度の分子エネルギーとして一瞬で放出され、その国のシステムを破壊するのだ」
「それじゃあ・・」
シンは単語でしか答えないが、先の答えを理解しているようだ。
「そうだ。21世紀の中頃には、T国、A国は壊滅状態になった。もう経済で世界を牛耳っていた大国は消えたのだよ」
「そんなに早く、では光ケーブルは開発されていたと?」




