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シンカラス  作者: 白木克之
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未来とは

 何人か集まれば、やはり不安と虚脱感さえ漂う話になる、どうしようも無い現実であった。しかし、その為に思考すると言うのは、未来を見つめる事になる。何よりも彼らだけが動いている、しかし、動かされていると言う事とは、違うのだ、皆が協力しているのだ。頑張ってくれと言って貰えないと、こう言う不満が爆発するのだ。だって、それが“人間だもの”。苦しんで、あがいて、考えて、行動して、その中で生き方を見つめて行くのは、後退的なものでは無いのだ。全部与えられて育ったり、苦労も経験せずに人生を送ったりするのならば、人の痛みもきっと分からなくなる者になるだろう。機械的な組織とは即ちそう言う事なのだ。

 そして、やっと本格的実動が開始された。既にカーバイドによる発破音で、周囲の動物の気配は消えた。それにより、ケン発案の網利用であっと言う間に更に1キロ延長の仮通路を作った。作業班が、どんどんと大理石ピースを埋めて行く、サテン・ウテン考案のセメントも、強度や接着力を高めた。そして通路には灯りとりの窓も設置されると、見違える程の構築物となった。この通路工事ならば、ドームを中心に何本でも構築が可能だ。利便性も良い事から、大葉や、大木のオオコオモリ忌避効果の研究も出来る。そうなると、ドームは行動範囲を広げると共に、新たな食糧を手にする事が出来るのだ。

 シン達は、通路外に出た。規則正しく大木がある事に、ある程度自信もある。それに従い超音波発生装置と、マコトが吹き矢を実際に使い、数匹の動物を捕獲した。当然、ドーム内に送り、寄生虫やウイルスの有無等様々な事を分析されるだろう。ある程度の見込みとして、食糧として、十分な生息数が居るのでは無いかと思われる。そうなると、行動範囲は更に広がるのだ。


「なかなか限られた種ではあるようだが、兎などの小動物がかなり居るようだね。オオコウモリの生息数に対して、また他の大型捕食動物に対しても、十分な繁殖を示していると思われるね、マコト副長」


 シリマツが言う。全ては調査なのだ。この実動がドーム内全ての糧になれば、意義がある。士気は高まった。こうして、5キロの通路外に出ると、やはり森林地帯はどこまでも広がっていた。そこに先日の大雨による影響は無かったのだろう。しかし、その大雨を吸い込む大地とは?


「思った通りですね。先日の大雨を吸い込む地下鍾乳洞があると思います。相当大きな鍾乳洞だと思います」

「鍾乳洞?」

「そうです。これこそ、我々が予測し、意味ある位置条件となるのです」

「オオコウモリが居るのか?そこに」

「いいえ、生息場所として、通常のコウモリが居ても、樹海を塒とするオオコウモリは居ないでしょう。それに、そう言う場所に棲む必要も御座いません。地に天敵が居ないのですから。我々はオオコウモリの天敵になるような飛翔動物を探しておりました。しかし、出現しませんでした。よって、他国からの飛来は無いか、或いはオオコウモリの超音波によって侵入する事が出来なかったかいずれかでしょう」

「そんな事まで分かるのですか?また断言出来るのでしょうか?」


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