第五章その一 新天地!
「良し、任せる。俺達は少し離れていよう、な?レンジ」
「あ・・ああ・・」
まさか壁を壊して先に進むなど考えもしなかった。サテン・ウテンは慣れたものだとでも言うように、ガンガンと壁を叩き出したのであった。確かに表面は硬そうに見えるものの、中身は脆い素材だと思えるように、それはかなり短時間において、厚さがどの程度であろうか、10センチ程しか無かったのである。たちまちぽっかりと人が入れる程の穴が開いた。勿論奥は暗いものの、こっちの光が差し込み、通信路は伸びているようだ。
「確かに、通信路だ。先まで伸びている」
ダンが言うと、サテンが
「待っていろ・・端の方の壁をまず壊すからよ。それを割ったら、何かぽきんと折れそうな気がして来たよ」
「まさか・・はは」
しかし、そのまさかだったのである。その端とは通信路の壁と完全に密着をしていなくて、恐らく中央を割っている時にウテンが気づいたようだ。ぽこぽこっと端の部分が揺れているのを・・彼らは、今度は思いっきり体をぶつけた。そして、シン達に、
「おい!手伝ってくれ、こっちの端を皆で押すんだ!」
「え・・おう・・」
そして、6人が力を合わせると、ずずん・・何とそれは扉であった。ドアのようなのだ。奥に向かって開いて行く。そして、直角になるまで6人は押した。力一杯を入れる事無く、そして、かなりの奥までその通信路に光は通って行く。そこへ犬達がもう戻って来た。どうやら、『銀』の判断で今日は余り遠くに行かず、待機していたようだ。勿論、3匹はしっかり横道に太鼓リールを引っ張って行っている。任務はたった犬達からすれば5キロメートル程度。時間が余って待機していたようだ。
「ワワン!」
出番とばかり飛び込もうとする犬に、
「待て!『銀』お前がこれを引っ張って行け。良いか、危険だと思ったら、絶対にそこから動くな。そして、この太鼓リールが終わったら、そこで待機していろ、良いな?」
「ワワン!」




