第五章その一 新天地!
「そうです。それこそが日本の開発技術の真骨頂だったと言えます。勿論ですが、我が国だけが突出して優れているなどと、思い上がった事は申しません。各国にも他国が追随出来ぬ技術があった事も認めます。だが、それでもなおこの技術が優れている点は、連鎖光なのです。つまり永久的にその光は次々と連鎖を繰り返し、光子が消滅しないし、劣化しないのです。それが光通信網・・和良司令官がここで出て来ます。その博士の言われて来たように発明なのですよ、先ほど質問のあったケン副班長」
「おう・・そこで繋がって来るのか・・じゃあ、元はその有線光ケーブルであったが、それを画期的に進化させたのか・・今まで何度かちらちらと言われては来たけど・・」
「言われて来たね、そして実在もとっくにあった事も認められている。そして和良司令官の存在も確かにあった。超天才である事の疑いも全くない。世界中・・地球上に現在それは網羅されている。居るが、その正体、存在の場所は今も突き止められない。だが、その光通信網が、高温も、ものともせず、貫通し、破損されても網目状の地球的網羅は1センチ角だ。どこにもその網から逃れる事は出来ない。つまり、この光通信網が世界を完全に牛耳った証左なんだよ」
「そうか・・言われていた事は憶測だけじゃ無かったんだ・・」
コウタ班長は、頷き
「前に言ったと思うが、俺達は生きる道を選択した。そしてそれは困難で茨の道だ。だが、その超科学に頼るまい。頼る必要もどこにある?ケン副班長、君はその南九州での通信路にどんな必然性を持っているんだ?天然ガラスの雨か?火山活動のマグマの動きか?地熱のあるその場所に通信路が引かれていたと言う証左か?」
コウタ班長は畳みかけるように、ケンに質問を返した。先ほどの話を割るタイミングの意図を聞いているのである。
「いや・・そうじゃ無い。我々は単なる好奇心で見たいと言っているんじゃない。だが、そんな事を百も承知で、その通信路は嘗ての道路網と同じく敷かれていた。なら、交通手段としてだけだろうか、地下掘削道とは違う目的が他にもあったんじゃ無いかと言う疑問は、ここまで網目状に敷かれている通信路と共に、素朴であるが何故かと言う疑問だ」
これにはコウタ班長が頷き、
「質問の趣旨は分かった。それは勿論AIが管理していた。つまり、網目状になっているのは、それだけ通行量が多かったと言う事だ。どこかで行き来する貨物などがぶつからないように、それこそ、分刻みかも知れないがコントロールされていたからだよ」
「成程・・それなら十分に説明がつく」




