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シンカラス  作者: 白木克之
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第五章その一 新天地!

 ぱちぱちぱち・・拍手が沸いた。シン達第14班は、第一級の評価を受けていた。それは、ここまで彼らがやって来た事を考えれば、当然であろう。そして、シンは現ドームのエライリーダーとほぼ肩を並べる副首班に任命されている。第14班はダンが班長として、残りのケン、リン、ラン、ショウも副班長格としてその地位も上がった。尤も彼らにとって地位などあってもなくても無用のものだ。ちなみにシリマツ官吏は、実務班の長として、シン達第14班とのつなぎ役を自ら希望、そしてマコト副長も実働部隊長として、やはりシン達と行動を共にする事もある役務となった。サテン・ウテンが作業隊長として重要な通信路の修繕や、副班長だったが、昇進したレンジ班長と共に、掘削も兼務する事になった。むしろ、サテン・ウテンのような卓越した技術を持つ彼らが、ここまで野外活動では、大理石BOXでは貢献度も高いが、表部隊に出て来なかったのは、その技術を生かし切れていない損失でもあった。今回の修繕では、多大な技術力と簡素な方法を編み出し、貢献度も非常に高かった。こう言う論功報酬と言うのは、実は組織にとって必要なものである。それはやる気を出させるものなのだ。その点は、シリマツ今は官吏ではなく事務班主査と言う肩書であるし、一般には事務総長と呼ばれるが、良く彼らの功績を見ていて、正当に評価した結果と言える。つまり、彼はこう言う才能を持っていたと言う事だ。企業で言えば、人事部の役員或いは、総務部を取しきる役員に十分なれる人物であろう。

 ここまでコウタ班長は言った後、ようやく量子発電の詳細に入って行く。何故このような発言が必要だったのかは、この後コウタ班長の言葉にその理由が出て来るのだった。


「さて・・量子発電技術は、古い時代に開発されていて、それが日本で独自に発展して行きました。核燃料や現在は、更に旧時代の水力・太陽光・蒸気発電等に頼る我々ですが、量子発電の原理は、非常に小さな量子の結晶を利用し、その効率を高めたものです。そして、その進化として光ドットシステム・・微細な鉱物の結晶に超音波振動を与え、その結晶同士から発するエネルギーを光分子に変換するもの・・かいつまんで言えば、現光ケーブルに通じます。この鉱物は常に振動をしておりますから、一端その振動を与えると、数時間、数十時間、数十日間、数か月間、数年間、数十年間、数百年間継続して光を発する事が出来る発明です。我々の祖先、日本で開発されたものです。日本は古代に鎖国政策を取っていた時代がありました。だが、国際連合と言う組織が機能したかに見えた束の間の平和な時代は、すぐ混乱と混沌の時代に突入し、緊迫した抑止力の時代に移り、新過去の時代には、世界的にそう言う緊張した中で、鎖国政策が発生しました。もはや輸出入を経ずとも自国で、原材料を確保し自国で賄える技術革新を余儀なくされたのです。故に、特にこの分野では世界一の技術大国として、先んじて鎖国に踏み切った日本では、感知されない有線システムに使う光ケーブルと共に、電力を生み出す、低コストであり、無尽蔵な資源で行える量子発電所が完成しておりました。それが塔の地下にあります。ですが、封印しました。封印せざるを得ない事もありますが、光ケーブル網は既に現在の通信路でも生かされておりますように、日本中に網羅されております。また後で説明も致しますが、そう言う事です。何か質問は御座いますか?」

「はい・」


 ダンが手を挙げた。

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