第四章その四 地下通信路
犬達は、また相当な距離を走っているようで、レンジMAPでは表示されていない部分も出て来た。又方向からしても、一本は冗談気味に言った大陸まで伸びている様子だ。確かに曲がりくねって直線では無いものの、大陸に十分到達する長さだった。そして、本州に伸びる道は5本。ここも明らかになった。レンジのMAPはこれは仕方が無い事だ。九州地区のMAPが中心になっている。
「おうっ・・これ・・大陸まで本当に到達しているかも」
「だなあ・・ここまでやっていたとなると、日本も相当の事まで考えていたと思える」
「それは?」
「*相手国のシステム破壊さ。そして、こちらの居場所が分からなくする防御網の確立だ。和良司令官の光ケーブル網はそれをやった訳だろ?進化させてさ」
「そうか・・だんだん繋がって来たよ、その和良司令官の存在もさ」
「まあ・・その辺の事はまだ不明だ。だが、実際に光ケーブルはあった。そして用途も多様化している。それこそ、無駄を排して一つでやれるわな?」
「そう言う事なんだね、ああ・・順を追って説明してくれたら理解も早くなる」
「でもさ、毎回言うように玉石混交した中で、情報も勝手に想像で作ったり、流言飛語によって本来の事が分からなく、解釈によってそれはまちまちになる。だからAIに置き換えて世界はそう言う流れになった訳だ、ただし各国の強い思いと、それも捻じ曲げて勝手に作った法によって、永遠にその思惑が混じり合う事は無い。だからこそ、抑止だけに集中し、攻撃すれば何時でも反撃するぞと言う体制が出来て来る、それは間違っていると俺達は今では思う。だけど、もう後戻り出来ないんだよ、大きな組織になってしまうと、中に正しい事を言っている者が居たとしてもかき消されてしまうんだ。そこも分かるだろ?客観的に見てさ」
レンジは、この会話に大きく頷いていた。正に同感と言う部分であろうか・・。
「ああ・・どこか手を緩めれば、優位に立とうとそこを突いて来る。隙を見せれば終わり。そんな世界が出来上がった訳だ」
「それを破壊しようとしたのか、或いは予想以上の大地震・地殻変動によってこうなったのかは分からない。そのAI自体が破損或いは、動かなくなった訳だ。そこを解除しようにも恐らくそれを出来るものはこの世に居ない。仮に出来たとしても、そんなAIに管理される社会を選択出来るのかって話だ。物も無い、人も居ないのにさ。俺達が野外に出てすぐオオコウモリの脅威を感じて、ここまでずっと一緒だったんだよ、微かに希望は見えた。馴致すると言う手段で、これは何とかなるかと思った、だけど、俺達には足が無い。この世界をとにかく見ないと何にも分からないだろう?そして、今道がようやく開けようとしている。そう思うんだよ」
「ああ・・良くそこは分かる。俺達は進めねばならないんだな」
*この部分の会話で、ほぼシンはある特定に至ったようだ。そして、ここが海洋研究所であった事もほぼ掴みかけていた。その証拠は何もない。だからこそ、その部分において大きな疑惑が持ち上がって来たのである。この会話は、何故レンジを抜擢したのか、そしてここへ同行させたのと言う意味において、非常に重要な部分に繋がって行く




