第四章その四 地下通信路
そう言う流れになって、マコト副長が用意するが、この会話にレンジは気遅れをしたのか一切加わっていなかった。まあ、その辺は第14班と、マコト副長が居るのだから、遠慮しても何ら不思議では無いが・・。
「さあて・・どこを狙うべきか、背中は硬そうだしな」
考え込んでいる。動作のゆっくり目の仮の名だが、ギャングエイに狙いを絞っては居るが呟いた。
「見た所、後ろ足はどうっすか?付け根付近なら足の裏側を狙って見ては?」
ダンが提案。又ぴくっとレンジの眉が動いた。鋭い判断だなとでも思っているのだろうか。
「良し、狙って見る」
言うが早いがプシュッと、20M先のギャングエイのまさにその後ろ足裏側にそれは命中したのだった。
「見事っす。もう1、2匹行っときましょう」
続けて2発、3匹には狙い通りの場所に追跡の矢が刺さった。
痛みも余り感じないのか、エイ達が海に潜って行く。センサーは簡単な原理だ。多少の水にも耐えられるし、2週間ほど作動する。仕掛けは小型電池内蔵の為で、彼らにすればたった2週間しか使えないと不満なのだが、今の古い在庫数では限度だ。それだけどんどん新商品が生み出される環境では無いのだし、この先在庫が枯渇すれば、そんな事も出来なくなる。ただし、この光ケーブルの原理が応用できれば、過去の遺産であるが、画期的にこれから様々な用途に使用出来るだろう。それも既にシンの脳裏にはあった。
追跡はダンが行った。
ある程度の海底地形や、ソナー等を今後運んで来れば海底の様子や、生物の事も分かるだろう。ただ、この一か所だけと言うのが腑に落ちないのだ。そこに引っかかる。
その内に、エイの棘を毒性についてはもうコウタ班長が調べているだろうからと、せめて食性だけでも見ようと解体が始まった。オオコウモリのように同族を食うような気配は無いし、カニや海洋生物は勿論だ。ただ、オオコウモリの死肉を漁っているから、雑食性なのであろう。オオコウモリも時間が経てば、やはりきれいさっぱりとこの砂浜にて解体される事だろう。
胃袋からは、魚介類・・特に貝類がかなり出て来た事で、余り大きく無い砂浜とこの海底には相当数の貝類が居るのだろう。それも彼らに食いつくされないバランスを保っているのであろうなと思われた。
そんな作業をしながら、ふいにランが呟いた。




