困難に迎え
シンが言うと、シリマツが、
「ふふ・・・いや、カイ君がその大葉の事をレポートしてくれたのだよ。彼がその大葉で身を隠した事によって、生体武器の襲撃に遭わずに済んだのだ。つまり、それも旧日本政府が意図して植えたものだったのだよ」
「何と・・では、俺は知らずに?」
シンがぽかんと口を開ける。
「シン君の場合はそうだったのだろううね。でも、感覚的に大葉を利用した。何故ならば身を隠す事が出来る程大きく、そして、この葉はある種の毒性を持つ事が分かった。既に数枚採取して来た。分析結果もある程度出ているんだ。その分野はカイ君の専門だったよね」
「はい」
「ほおっ!カイ君もかい」
次々と体力自慢だけでは無い、やはり彼らは特別選抜メンバーなのである。学者まではいかぬとも、相当に高い知識を皆が持っている事が、分かって来た。
「その大葉を使用する。しかし、素手は危険だ。また長く持っていると、我々にも害を及ぼすので、この大葉の生育地域を結ぶ通路を確保して行く事になるだろう」
具体的行動について、かなりの進展が出て来た。シリマツは更に言う。
「次に、やはり今申した装具だ。今の服装については特に変えるつもりはないから、当面それでやるが、ショウ君のアイデアを採用させて頂く。また、リン君と発想が同じで、火薬を作ろう。硝酸カリウムと硫黄があれば、かなり強い攻撃力となるだろう。ショウ君、君は武器マニアだったね。過去の武器すらも研究していた」
「あ・・いやあ・・」
シンは知っていた。ぷっと吹き出しそうになった。ちなみにランもそうだ。ランは特に銃などのマニアである。
「その応用は、供給量が十分にあるのだったから、我々は今まで無かった強い武器を持つ事になるだろう。更に簡単な鉄砲位は、今の資材でも十分に加工も出来るだろう。正に我々も文明を手にした気分だよ・・あ・・これは思い上がりでは無い、有頂天になって、又人類が地球を席巻しようなどと言う大それた考えではないが、非常に大きな守護の手段だと思う」
「おう・・ショウもすげえんだな、お前もやるなあ」