第四章その四 地下通信路
ダンの頬がぴくっとした。シンは、そんな表情変化も今はマコト副長との会話であっても、全員の心の中まで敏感に嗅ぎ取っているのだ。
マコト副長は、
「思う・・全く奇想天外なる話じゃない、それは現実論だよ」
「でしょう?俺は不可能な事は言いません。現実を見据えて言うようにしておりますから」
「ふふふ・・マコト兄、これが良くも悪くもシンなんすよ。俺達もその線で考え、自分達も、ああしたらこうする、こうなると、こうしようとか色んなシミュレーションをして行くんです。そして、それがまだ第14班に馴染み切っていないけど、ショウもそうなると思います。現にそう言う事を提案し出したし、無茶はやるけど、その感覚で知らずの内に動いているんすよね」
ダンが言うと、マコト副長も、
「君達と実践で行動するのは久しぶりになるが、確かに随分と当時とは違っている。違うと言うのは、考え方や行動においても、相当の利便も出て来た事もあって、素手で野外に飛び出した過去とは違う。しかし、そう言う事じゃなくて、全ての行動が裏付けされている事だ。これは、研ぎ澄まされた鋭敏な感覚が益々磨かれたと言うか・・」
「まあ・・感覚は外で活動していれば、些細な動物の声、音、常に緊張状態です。だから、今言う感覚は磨かれるのかも知れませんね。これはマコト兄、貴方は本来外で活動するタイプだと思います。そして、常に周囲に気配りしてますよね。俺も久しぶりで一緒に行動させて貰ったけど、吹き矢・・見事な腕っすよね。命中率も高いし、そんな技は実戦で使わなきゃ勿体無いっすよ。そして、目印は見事に機能してます。ランと、俺で追跡調査をやってますから、どうっすか、しばらく一緒に行動しますか?」
「願っても無い事だ、それは俺からお願いしようと思っていた所だ」
「じゃあ、遠慮しないで、気になる事はどんどん言って下さいね。俺達は、確かに無謀な挑戦はしません、ですが専決事項だと思う事は常に優先しますし、合議が必要だと思えば、勿論意見を聞きます」
「ああ・・よろしく」
マコト副長がそう言う所に、もうリンが台車に乗ってやって来た。やっぱりリンだったかと、マコト副長は第14班の以心伝心的な動きに、やはり見事なチームワークだと感じた。誰がどう動くのかも、一定ではない。それぞれのまた状況に応じて変化しているという事なのだ。その辺は真面目で実直なマコト副長の殻が、もう1枚、2枚と破る必要もあろうなと、シンはここまでの動きを観察していて、長所・短所を見抜いていた。




