第四章その四 地下通信路
レンジの顔色が、この時は急激にさっと変わる、
「そ・・りゃあ、性急過ぎるっしょ・・まだ修復すら」
当然の反応だ。それには、ダンやランも同じく眉をしかめた、また急に話をなんで飛躍させるのかって言う顔だ。だって、昨日の事を即、今日にやるような話ばっかりするからだ、シンが。それにそこへ行くには国境があるだろうし、相手の国も、おいそれとそんな地下通路を掘らす事は無いだろうと言う誠に常識的な答えである。しかし、このシンの先読みは、それすら凌駕している?
ケンが意外にもその言葉を・・
「まあ、『戒』達が走り回っている。その内この通信路のどこまでが健在かも分かるだろうし、台車にひょっとしてショウが乗って来るのかな?それともリンかな?」
「リンは外せないだろう、あっちで」
ランが言う。しかし、ケンは、
「いや・・リンの役目も、後は待機している馴致オオコウモリを動かすだけだからな、シン、その話だと、空の脅威が去ったから飛ばしたのか?もしかして」
「え!」
全員が驚いた。一体いつの間に、どんなコンタクトを取ったのか・・実はシンは、シリマツ官吏に対し、リンにそれを渡してくださいと、暗号めいた文章を託していたのだ。同時進行でシンはずっとずっと先までやはり見ていたのである。ケンがそれに気づいていたのだった。*それは7匹の犬達を自由に走らす中にもその考えがあった事を、野生の勘が冴えるケンには何となく分かっていたのだ。
*もう途方も無い、誰もが思いつかない策を実行していた。それこそ、誰にもに知られずにだ。




