第四章その四 地下通信路
レンジは頷いた。シンの飲み込みは早い。もうその情報の後は、聞かなくても大丈夫だと言う事だ。ここでマコト副長が去った白頭の群れと、今後そこへ替わりに居座るだろう左舷の群れの事について質問する。
「で?昨日は、とても長時間大量の銃で弾も撃った。あの死骸はそのままにして置くのか?シン」
「ええ・・そのつもりです」
「腐敗するだろう。あの砂浜は海洋生物達が暮らしているんだからさ」
「前時代ではそうだったんでしょうね」
「ん?前時代?」
シンの言う事が、理解出来ないマコト副長だった。
「ええ・・前時代です。ここのはダンも居るから俺が説明するのも憚れますが、電磁パルス爆裂は確かに起こった。その期間がどの程度あったのかは、正確には分からないっす。ただ、地球上では電波は縦横無尽に飛ぶから、例外なくあらゆる場所に影響は与えた筈です。その為生物はおろか、人工物や、脆い岩石類も粉々に砕け、植物、微生物、ウイルス・細菌までもが死滅した。ただし、例外は必ずある。地下や海中の深い場所です。つまり、言いたいのは死体を腐敗させるのは腐敗菌、その腐敗菌が植物の生長にも役立っている事もあるが、微生物の活動によって腐敗熱も発生し、土中の温度も保たれる。けど、そんなものが居なくなれば、植物は育たなくなる。動物も腐敗しなくなるんです。俺達は以前オオコウモリを解体し、燻製肉を作り食ったけど、これは長く持ったですよね、勿論燻製にしたと言う事もあるし、塩もまぶしたから。それで、今回の死体は海洋生物の貴重なミネラルや栄養分になる筈です。ギャングエイも増えて欲しくは無いけど、食べきれる事は無い。もうカニや貝が結構死体を喰い始めていると思うんす。そして、綺麗さっぱりこの砂浜から無くなるでしょうね」
「でもさ・・左舷が来たら、同じ事じゃ?」
「あれ・・昨日言ったじゃないっすか。左舷は確定では無いにしろ、恐らく主として草食性なんすから、オオコウモリの死体や、魚介類なんて全然とは言わないけど余り食わなと思うっす。また、草食だと言っても大葉や山切りの木も食わないとは思うけど・・」
「あ・・そうか・だから、この島部を明け渡せば、空の脅威は無くなる。だからこそ、白頭の群れの排除だったんだ」
「ええ・・殺生はしたくなかった。出来るならばね。俺だって胸を痛めながら撃ったんす。最後まで人間と共生出来ないかって思ってね、でも、こいつらは仲間さえ躊躇無く食った。でしょう?俺は、人間が死滅しようとも、やはり地球上にこう言う種が残って欲しく無いと思い、攻撃をしました。その判断も言った通り、俺に責があると言う事っす」
「いや!だから、俺が命を下すと言ったんだよ、それにシリマツ官吏も銃を握ったじゃないか」




