困難に迎え
「その話は、素晴らしいのだが、今の方策から外れているので、又後ほど説明もしよう。今回またまたシン君の大木配置図だが、このMAPが大きな示唆をしてくれた」
「おう!またシンか!」
全員が手を叩いた。まだ、早いよ。発表もされていないのにとシンが苦笑い。
「そうだ。このMAPにより実に規則的に木が植えられている事が、判明した。つまり、計画性があったと言う事だ。旧日本政府の生物兵器に関する様々な方策が、段々と明らかになりつつある」
「情報としては無かった。しかし、シン君の提出したMAPが、如実にそれを露わしていたと言うのですね?」
マコトが聞いた。
「うん。実に正確に植えられていた。尤も、気象変異の殆ど受けないシェルター内では、その外の100年間の気象条件により、倒れたり、枯れたりする事は多々あったかも知れないが、幸いにもこの間に大きな地震や、台風や自然災害が少なかった事が、かなりの大木の成長を助長していた。又、倒木や枯れ死も少なかったのだろう」
「それが、先の話題にあったシンルートですか?」
シンルートとは上手い事を言ったものだ。少しにこりとしながら、シリマツは頷いた。
「うん。尤も安全で、大木間は、100メートル間隔だ。それは殆ど正確だ。つまり、ルートさえ確保できれば、そこへ到達すれば、オオコウモリの生息もないから、比較的安全であると言えるだろう。ただし、襲われないと言う保証などは何も無いがね・・」
「おお・・何とか、ルートがこれで出来そうだと言う事になる。やったな!シン」
一同が手を叩いた。
「これで、計画を練ろうと思う。勿論諸君には、その為の訓練も必要となるが・・」
「勿論っすよ!」
じっとしている気分では無かった。光明が射した事で、自分達のモチベーションは上がって来る。勿論その為の訓練を喜んで受けるだろう。
「それでは、これを基に進むミッションを始動する事に決定する。通路を利用すると言う形で進み、そこからは、カイ君、君のレポートを採用する」
「おう!カイは何を?」
「今までの武具では余りに脆弱、我が身を守る事も出来なかった。まして、大型獣で時速160キロメートルで飛行するオオコウモリだから、今100メートルの間隔と言ったが、装具を持って全力疾走をしても、20秒は早い者でもかかるだろう。それに対してオオコウモリは、僅か2秒半で到達してしまう。100メートルの間をシン君がオオコウモリに襲われないで済んだのは、むしろ、大葉と言う食物の葉だよね?」
「それは・・今まで公開しておりませんでしたが・・」