第四章その四 地下通信路
「分かった。『戒』!お前たちは自由に走って来い、ただし、水や食い物も必要だ。半日毎にここへ戻って来い、良いな?」
「ワン!ワワワン!」
犬達は喜び勇んで走って行った。水の問題だが、所々に湧水もあった。地下通信路らしく水の逃がす場所があると言う事だ。彼らは1日、2日食べなくても大丈夫だが、ケンは、ちょっと出かけて来ると、自分の思う場所に犬達の餌を置いて来るのであった。時速40キロも出る電動自転車だ。そこは犬達と同様に機動性も高かった。
「ふ・・何やかやと言っても、ちゃんと犬達を第一に考えてやがる。でも、大きいぞ・・これは、俺達にはとても便りになる相棒達を手に入れているんだからな、ここは負けられないぞ。よし、俺も再度腹を決めた。白頭は、どうしてもここそ死守せねばならないようだ。それも分かった以上、どうあっても駆逐する!」
「おうっ!」
シンが再びエンジンを点火させた。その折りにシリマツ官吏もやって来た。*マコト副長が呼んだのだ。事の次第を告げると、彼も大きく頷いた。
*マコト副長もこの時シンの策に全ては知らされていないが、加担しているのである。ただし全貌を彼が知る必要は全く無い。そしてシンが実働部隊を実質動かしているとは言え、エライリーダーの側近、シリマツ官吏がこの場に居ると言う意義が大きいのだ
「そうですか、ここが正念場なのですね。ならば、一歩も引けますまい。やりましょう!」
何とシリマツ官吏も、銃を構えたのだ。それもここへ合流する前に、ウテン・サテンが殆ど重要箇所の修繕を終えていて、後は細かい修繕を済ませながら、対馬に向かっていると言う。彼らの素早い対処にも頭が下がるし、それだけこの通信路や工法に熟知したレンジが一緒に居る事も大きい。白頭本隊が対馬に居る以上、また、シリマツ官吏もこの対馬にて木々や海洋生物が居る事に驚喜していた。大発見を、又してもシンがやり遂げたのである。何かそこから希望が見える気がしたし、コウタ班長達の検証もかなりの部分で大詰めを迎えている事も、ちらっと言ってくれた。それは勿論、このミッションを完結させたら次の行動に出ると言う事だ。
ここは撃つしか無かった。地面に落ちたオオコウモリを、やはりギャングエイ、オオコウモリが攫って行く。どれだけ撃っただろうか、ギャングエイはもうオオコウモリの死体を海の中にあるだろう巣穴まで運ぶ事が少なくなった。他の島にも居るのだろうか?シンは、否定する。恐らくここにしか居ないと思った。ギャングエイは胎生だ。1匹から数匹しか一度に産めない。それに、遺伝子操作の生体で、もし生体武器に成り得たのは繁殖力の問題もあるし、何と言っても食料源だ。もし、この砂浜周辺にしか海洋生物も居ないとしたら、大きな数が繁殖出来る事は無いと思った。又、ちらっとコウタ班長がその事も触れて来たのである。もともと資料としてあったそうで、その生体は実験用生物であり、とっくに消滅していると思っていたそうだ。それが海底洞窟か地に潜るもぐらのDNAがそうさせたのかは分からぬが、奇跡的に残ったのだろうかと言う事だ。海洋生物については、説明がつきそうだとも言うし、ガジュマルの木も、地球上のどこかで電磁パルス爆裂を免れた例外が発生しているのならば、海流に乗って対馬に定着した可能性もあると思うし、大陸にも近く、T国にはまだ木々を生やした森もあり、それが同じような遺伝子操作植物ならば、大河に流され、海上を漂流しながら定着した可能性など、幾らでも考えられるとの事だ。




