困難に迎え
「通路の補修と保全は、あっと言う間に完了しました。我々が通路上で行動すると言う事は、この工事によってシェルターを出ると言う、大きな100年後の進展だと言えましょう」
それはそうだろう、たった3キロと言えども、そんなに簡単な工事では無かったのである。組織内には確かに地下通路が無数に通っているらしいが、殆どは今まで決められた通路しか通れなかったし、それぞれにものものしい守衛門があって、他の部門には行く事が出来なかった。それは、今も部署の組織的披露があっても、容易に行き来する事は出来ない。又、その必要も無いから行こうとも今の所シン達も思わないが・・。
「そこで、諸君から思わぬ提案があった一つとして、オオコウモリの糞は、確かに感染症を起こす危険性も高く、又尿はあっと言う間に大理石の壁を浸食した。なので、補強をしたが、これは飛びながらでも尿をする事もあるので、大地は汚染されていると言う想定の上で、通路構築の手段が取られた」
そうか・・第一番はそこなのか・・シンは思った。
「第ニ番の手段として、少し前にお伝えしたが、このシェルターより10キロ圏内に日本の施設2つが隣接されていると言う事だよ。ここへ到達すると言うのが大きな目的でもある」
それも聞いた通りだ。そして、どう攻略するかの続きが無かった。
「具体的な方策の話はしていなかった。しかし、これは?と思う方策が無かったのも事実なのだ。だが、先日の皆様のレポートの中で、まずは、蝙蝠の糞に含まれる、リン、カリウム等を野菜の肥料として取り出せる方法は、リン君が具体的に示してくれた。これは、野菜工場を稼働させているシェルターに、無農薬栽培の野菜を供給出来る大きなものになると思う」
「おお・・リンには、そんな知識が?」
「ふ・・もともと体力の方で専攻されたけど、化学分野も得意だったからさ」
照れくさそうにリンが言う。誰もこんな発想をした事も無かったし、まして、生物兵器の排泄物を利用しようなどと誰が考えつくだろうか。まして、寄生虫や、細菌の危惧もあるのに。でも、それは、具体的に滅菌や寄生虫排除を今ある資源で可能にし、有機肥料として活用出来るように提案されていた。