困難に迎え
「初めてだよ・・あんな指示を受けたのは」
シンの部屋に真っ先にやって来たのが、ランとショウだった。
「ああ、びっくりする事だらけだが、資料を良く読んでおけと言う指示なのかも知れないな。作業班での手伝いで、皆も感じた事があったんだろう?だからレポートを自主的に提出した。だから、同じ主旨だと思うんだが」
「その通りだな。このチーム編成になって、確かに知り得なかった情報が次々と出て来て、戸惑う事ばかりだが、その理由も分かって来た。恐らくまだまだ俺達には話せない事も多いと思うんだけど、それは隠しているんじゃ無く、エライ班長もシリマツ官吏も分からない事が一杯あると思うんだよ」
「それはそうだろうな。だけど、5キロ通路の延長が完遂する事によって、新たなミッションが始まると思うんだ。敢えて、俺達がオオコウモリに挑む必要性は全く無いし、挑んでも完全に負けだよ。だってアウェーの戦場で、無数の相手と一人で挑んでいるようなものだ。俺達に武器がなくちゃ、絶対に勝てない。仮に勝ったとしても、相手は無数に又湧き出て来るからな」
「全くその通りだよ。だから、攻撃を受けないような行動をする。闇雲に突っ込んで玉砕も辞さずって行動が、内紛劇を誘ったんだよ、きっと」
「内紛か・・ふ。それこそ、益々自滅の道だよな」
ランは皮肉そうに笑った。このどたばた劇こそ、最後の人間社会における断末魔の叫び声をあげているように見えたのだろう、彼には。
「でも、シリマツ官吏の上に、シンの知る神野って人が事実上俺達を仕切っているんだろう?信用出来る人だよな?」
「勿論さ・・神野教官は、俺が最も信頼出来る人だ」
シンはそう言って固く口を閉ざした。余り自分の過去や、その人との関係を今は言いたく無かったからだ。若山室長に反論し、部屋を飛び出した後守衛の所で確認連絡を取った時、すんなりと外出許可が降りた。守衛が驚いた顔をしていたが、その辺も関係があるのかも知れない。だとすれば、シンには、ランの知らない部分があるのだろう。その関連性も含めてマコトが副リーダーで居るのに、シンに対しては、当初よりその彼より注目されているばかりか、シンツールなるものが、採用された事も重要な役割を期待されての事だろう。でも、それはここまでの仕合いを見ても、彼ら全員が相当な身体能力を持ち、選ばれた実動メンバーだと言う事だ。そして、更にその仕合いが終わった夜のミーティングで、何故5キロの通路構築が必要なのか、詳細が明かされる事になるのだった。




