第四章その四 地下通信路
ダンの真骨頂は、今はまだ表面には出て居なかった。敢えて没個性に徹する事が彼自身の慎重な部分もあるのだが、シンを凌ぐ才能を持っている事は、周囲も感じている。今はシンがぐいぐい引っ張っているが、重要な部分では必ずダンが、その助言や眼に見えぬ動きでフォローしているのだ。むしろ、シンと親友であるランよりも、ある部分では強く結ばれていた。
こっちはシン達だ。マコト副長の吹き矢の射程距離まで近づけたのは、一頭だけであった。やはりそう簡単なものでは無く、壱峻島全てを通信路が網羅している訳では無く、3本のみここには破損を受けず残っていただけで、後は通行出来なくなっていたのだ。
「どうやら、メインの通信路に比較して、枝の通信路はやや粗雑に作られているのかな」
ランが言うが、シンが首を振る。
「それは無い。だって人間がやる訳じゃない。作業ロボットが定期的に点検・補修をやっていただろうし、通信路の大きさは色々だろうが、使われている素材は同じだ。また、そんな手抜きを人間じゃないAIがやる訳も無い」
「はは・・それはそうだろうな。つまり何等かの外的要因によって、これらは破損したり、粉砕された。やっぱり地殻変動・地震や火山等の影響もあるのかもな」
マコト副長が言う。シンは黙って一回うんと頷いた。マコト副長は、危険を冒してでも3つの群れの中ボスに目印をつけると申し出たが、もうシンの中ではその戦略は変わっていたのである。そこまでやる必要は無し・・と。後は、こうして壱岐島に滞在し、ダンの合流を口には出さないが、待っていたのである。恐らくコウタ班長の考える福江島の左舷本体の本拠地説は、否定されるだろうと思っていた。そこは、頭金のナンバー2のボスが居る筈だ。何気なくここまでそんな情報も一切出さず、こう言う状況になり初めて披露するのも、そのような必要性に迫られる事も無かったからだ。自分達がまずしなければならない事を優先事項に、シン達は誰よりも精力的に動き、率先してやって来た。ここで、こう言う時にやはり生きて来るのは、普段からの情報収集とその分析力なのである。ランと共に加わったショウは、そのシンの補佐をし、きっとその部分を埋めてくれるだろうし、最近、一番よくタッグを組む副長格のダンは、その行動に対しても阿吽の呼吸でやってくれているのだ。
そのダンは、途中で福江島へ行くのを停止していた。途中の通信路が崩壊していたからだ。すぐさまダンは、ショウに有線LANで地点の登録を行った。進めない事は無いのだが、これは彼一流の直感で、危険と判断したのだ。通信路の光ケーブルは断線していないが、壁があちこちで崩れている。ここはまず通路と、その後壁の補強・修復が必要だ。その旨を伝達すると、もし修復をやるのなら、真っ先にここをやってくれと指示を出し、後はショウ、お前がこのミッションを受け継げと伝言もし、今来た通信路を今度は高速で戻って行く。そして、その夜にシン達の合流したのだった。シン達は横になっていた。




