困難に迎え
「どうやら、作業班の手伝いをやってくれと言う我々の意図を、彼らは感じてくれたようです」
シリマツが言うと、エライ班長は満足そうに頷いた。
「そうなんだ。我々は、事細かく指示する立場では無い。そうなる事を出来るだけ無くし、自主性を重んじようとしたが、彼らは本当に優秀だね。既に自分達のやるべき事が分かっているようだ」
「はい。色々御座いましたし、我々にだって分からない事ばかりです。やはり、100年前に行ったもう一つの結果も、出始めたのかも知れませんね」
意味深な事を、この時シリマツはエライ班長に言う。まだ何か特別な秘密が隠されていると言うのか。それは、今は分からないが、こうして動くべき時に、動き始めた意図が何かあるような気がして来た。
この作業班への手伝いは、あっと言う間で、1週間程にて終わった。それから、チームはそれぞれが感じた事を、与えられた部屋で、レポート形式にまとめて言った。それも指示された訳では無い。小ミーティングが毎夜あった。シリマツが優秀な人物である事は承知の事だが、少しこの夜に、また動きがあった。
「本日で、予定より驚く程早く作業班での手伝いミッションは終わった。よって、明日からは内部的ミッションに移行する」
「はい!」
ランが手を挙げた。
「どうぞ、ラン君」
シリマツがランを指差した。
「自分なりに作業班を手伝って少し気になった点があったので、レポートを提出致します。よろしいでしょうか」
「勿論、大歓迎だよ」
そうシリマツが言うと、全員が既にレポートをまとめていたようで、シリマツに提出するのだった。
「全員・・驚いた。レポートを提出せよとの指令もしなかったが、有り難く拝読する」
シリマツはにこりとしながら、それを受け取り、この場では公開しなかった。