第四章その四 地下通信路
「じゃあ、続き。そのホーミーの波長で、山切りの木から、スキバームから変化したバラリンが微妙に噴出されるらしいや。それで馴致オオコウモリは勿論人為的に訓練もしているし、人間に慣れている部分もあるが、非常に従順になるようだ」
「へえ・・リンの超音波の聞き分け出来る耳と、視力は良く知っているが、そうなのか」
「じゃあ・・頭金がもしかして、人間を襲って来なくなった理由はそこにある?そして、この軍団を味方につける事が出来たら、大きな戦力に今後なるかも」
シンは、即座にひらめいたのだった。
「良し!ケン・リン・ショウ。急いでコウタ班長にお前の喉笛=ホーミーの波長をケンシンさんと解析して貰い、どの程度の発生でバラリンが放出されるのか、早速試してくれ、俺達はやっぱり白頭を殺る。恐らく、この群れは遺伝子変異で、ヤコブス器官を持っていない元々の原種還りの群れだと思う。左舷は、その時多勢に従うか、或いはこの器官があるのなら、この戦闘は終わる。やったな!余りにも早い展開になった。俺達は、もう進むべき道が開けそうな気がする。この通信路の探索も含めてな。行動範囲が無限に広がる予感がするんだ!」
「おうっつ!ようし!分かったあ!」
ケン達は、喜び勇んで実験に戻って行く。マコト副長の顔も満面の笑みになった。
「じゃあ・・やる事も決まった。俺も余分に持って来たよ。遅めになったが、今日は戻らなくても、どんなに時間が掛かろうが構わない。エライ首班は気の済むまでシン班長と行動をしたら良いと言ってくれた」
「ああ・・今のケン達の話もすぐ伝わるだろう。希望が出て来たな」
「シンが迅速な判断でこっちに戻ってくれたからだよ。第14班が今回も非常に重要な部分を握っている。嬉しくなるよ、頼もしくてさ。俺も全面協力したいよ」
「有難う御座います。マコト兄」
ランが親愛の気持ちを込めて初めてそう呼んだ。
「ははっ!嬉しいな、そう呼んで貰えるとさ」
マコト副長は、更に顔をほころばせるのであった。
そして壱峻島に向けて出発。160キロの距離があると言う事だから、推定電気自転車の速度は40キロだ。4時間で到着出来る予定だ。画期的これは乗り物となった。電動車は野外用のキャタピラ付きだ。最速でも20キロ程度だから、倍以上のものである。そして、これは更に改良し、倍のモーターを装着すれば、時速80キロまで出るとケンシンは言っている。それに耐えうる旧来のタイヤ形式では無く、特殊素材の円盤で、柔らかいが擦り減る事は殆ど無いそうだ。それに、昨日体験したがこの通路は、非常に平たんで凸凹が全く無かった。この走行にも全く支障が無かった。




