第四章その四 地下通信路
「大葉の栄養素も、象にとって丁度良いらしい。うってつけの動物だそうだ。そこでダラマンカの話に戻ると、象の体内で土壌に優しい有機成分と消化しきれない、やっぱりオオコウモリにとっては、忌避成分のダラマンカが凝縮された状態で残る。それがオオコウモリも流石にこんな大きな動物を襲う事は無いだろうし、他の肉食・雑食動物も襲う事は無い。リンが肥料の事で提案もしているし、その有益な有機成分は土壌改良剤になるだろう。一方他の動物にとっては、大葉は害も無い。鹿も兎も全く無害だ。つまり、そう言う遺伝子操作が行われていると言う事だよ。全ての現動物・植物において遺伝子操作を行っていない存在は、もはや無いと言い切れる」
「そうだったんだ・・いや、そうなんだろうなあ・・」
ランも頷いた。
「そこで、ダラマンカが光波長にどう影響するかは、即結果が出た」
「おう・・それは?」
ダンも目を輝かせた。
「像や、動物の体内で消化されたダラマンカの成分は、確かに体内から排出された状態直後には残るが、やがて消えてしまうと言う事だ、つまりオオコウモリの忌避成分にはならなくなる。そして、有益な有機成分のみが残るんだ」
「じゃあ、紫外線が消す?」
「その通りだ。同じ理屈って事だよ。大葉は、このようにオオコウモリに対して忌避用に開発されたものでは無いが、成長途中で食べられないようには効果と言うか、それはある。だが、大量に食う鹿や兎には餌だけどな・」
「大葉はもう四国へ移植中だし、動物達も餌が出来れば移住可能だろう。で・・山切りの木の事だ。こっちは違う」
「どう違う?」
シンの眼がきらりと光る。本題に触れて来たからだ。
「言った話の続き・・つまり、遺伝子操作によってオオコウモリには忌避成分としてスキバームを受け付けないDNA改良が行われていると言う事だ」
「確かか?それは」
「ああ・・確かだ、コウタ班長が教えてくれた。今まで言わなかったのは、それが今回の光波長と関係の無い所でのものだったからだ」
「じゃあ・・関連付けられると言う事か?」
「その前に・・この第1ドーム周辺の限られた動物達だが、ネコ科の動物は一匹も居ないだろう?」
「ああ・・そう言えば、居ないな」
彼らにはその興味も余りなかった事だし、図鑑やデジタルデータ、DVD等で見るだけだからだった。




