第四章その四 地下通信路
「優秀なのは、技術者のケンシンさんだよ。知識としてあっても、使う側と製造する側の才能は違うだろ」
「うん。それで・・それは分かった。どの位の距離があるんだ?」
「ほぼ直線で、この通路にダメージが無かったら、350キロ程度だ。壱峻島なら160キロで行ける。今日は、シン、壱峻島からか、探索は」
「ふ・・そうだ。そこでマコト副長に報告と実働願いも兼ねて準備をして貰っている。俺達は背中に背負える道具のみを持って、合流したら出発するぞ。帰りは遅くなる。皆もそう思ってくれ、ここで休んでくれたら良いよ。で・・ケン、どうなった?」
「ふ・・そんなにお前達と同じような結果が出ると思ったか?」
「ふふふ・・ケンの顔を見ていると、何か落ち着いていたからさ。もう隠しても駄目だ。リンとはアイコンタクトで聞いているからな」
「この野郎・・ははは。おまけにお前達のミッションをこっちのメンバーに居るショウまで同時にさせやがってよ。それも今使える*光LANか?」
*この光LANで、シンは暗号化を実施し、各個人と取り決めをしており、無数の連絡が飛び交っていた。シンを中心にもう大規模な調査がこの時進行していた。また、この地下通信路が発見されたと言う事にその大きな疑問が発生していたのだ。同時にシンと言う者の真の能力と、驚愕させるような始動が開始されていた。第14班のメンバーも今はそれを知らない。
ケンは苦笑い。
「使えるものは、即使うさ。尤も・・文明の利器に頼るのは嫌いなんだけどさ、それを切り捨てて俺達が生き延びて行ける術ももはや無いのさ。だってそうだろ?前時代の遺物の中で、それを頼って何とか出来ないかとやっている訳だからさ」
「それ・・反論するなよ、ラン」
ケンは益々苦い顔になった。
「あ・・やっちまったかな、でも、本音でもある。ところで、そのケンの余裕顔は何なの?」
「おっと、切り替えやがったな・・じゃあ、手短に言う。今日はコウタ班長も合流して、オオコウモリは元々生体武器として、原種を輸入。そこからかなりの期間を経てDNA改造をやって行った。この頃は生体武器と言う概念は各国には無く、動物園での飼育と言う事と、種の保存と言う役割で割と世界的には融通がついていたんだよな。外貨も稼げるし、日本は特にそう言う事には日本は得意分野だから、相当の種類の動物が世界中から集まっていた。*象の話にもちらっと触れたけど、その原種はやっぱり遺伝子操作されていて、300年位の寿命があると言う事だ。つまり、野外実験用に放たれた」
「ほうっ!そうだったのか」
*とうとう象の話にも触れてきた これも重要なキーワードになる
今頃こんな情報を聞いてもしょうが無いのだが、人畜今の所は無害だし、彼らには興味の無い話だった。




