第四章その三 勢力争い
「うーーん・・それは勿論有り得るし、白頭の本拠は、じゃあT国の密林か?」
「恐らくそうだろうな、確かに奇妙な生体は居て、翼は持たないから棲み分けも出来ているのかも知れないが、何もまだその辺の事は分かっちゃいないし、そんな遠方に行く手段も無ければ、乗り物すらない。また生体と言えば、深海生物が海岸に打ち上げられているように、佐賀の海にも気持ち悪いが、巨大な海綿状の生体が居る。この3つの群れの生体がそれぞれ住環境によって、植生やその性質も変化していると言う事になるし、互いに牽制する中で、行動範囲が分けられたのかも知れないよな」
「ああ・・そうなるんだろうな、だからそれぞれの群れの個性が違うし、よくよく見ると、体形にも変化はあると言う事じゃ無いかな。それぞれの群れの一頭だけでも捕獲して、その調査を行う必要も出て来たな・・これは」
シンが言うと、危ないと言うようにダンが、
「シン、その考えには同調するが、それは野外活動をする必要が出て来る。この状況の中でそんな事は無理だろう?」
「あ・・シン、今日お前が白頭の中ボスを、もっと近づいて殺ると言ったのは、そう言う意味もあったのか?」
「駄目!駄目!シン、今はそんな活動は絶対に無理だっ!」
ここは全員が反対をする。だが、シンには考えがあったようだ。
「野外活動って・・ここも第1ドーム外であり、第2ドーム、塔とも違い独立エリアじゃん。反対する皆の考えや言う事も分かるがな。地下坑道の事を誰も言わなかった。人間達は、もう地下中に潜って、むしろもぐら生活をしていたんじゃねえのかよ。色んなミッションの影で、誰もそっちを言及した者も居なかった。*その坑道に詳しい奴が居る。だからそこを利用して出来るだけオオコウモリに近づくって言う方法もある」
「え!ええっ!いつの間に・・」
「はは・・俺は、一つの情報網だけでは無い。だが、全てに精通もしていないが、ここ・・頭の中にだけは情報として入っているし、ドーム内の全ての者とは接触して来た。だから、そのデータは必要な時にここ・・頭から出して来る。それでも反対するか?」
「ふう・・これなんだよ、シンは・・」
*この者が、大きな鍵を握っているのである。シンはこの時大きな決断に踏み切っていたのだった




