第四章その三 勢力争い
「将来はそうなる事を目的としていた。当然だ。だが、野生のオオコウモリの繁殖数もあるしな。そう近将来でも無かったさ」
「それは、そうだろうな・・でも、新しく誕生した子達をかなり間引いてきただろ?シンはさ、ふふ」
「ふふ・・妊娠抑制剤は勿論与えて来たさ、食料の中に入れてさ」
ここでもシンの遠望が垣間見える。
「今もって、先読みの能力はシン班長に及ぶ者は皆無だ。で・・比率的にどうなっていると?10万頭と1000頭じゃ、圧倒的多勢に無勢だからさ」
「凡そで言えと?」
「いや、そうじゃ無いが、どんなに見ても、それはそう言う視点になる」
それにはシンもダンも頷いたが、ここで黙っていたランが言う。
「コウタ班長、少し俺から質問をしても構わないかな?」
「え・・勿論さ、何?」
「例の光ケーブルだ。色々説明も受けて来たが、瀬戸内海におけるオオコウモリ未飛来の謎解きは、俺にはその光ケーブルにあると見ているが、全く誤った見方だろうか・・」
「今・・光ケーブルの話?だって、その光ケーブル網が実際に世界的網羅をされていても、既にコントロールされるべき基盤も制御装置も皆無だし、謎のままだろう?俺だって、そこまでの情報しか取り出せては居ないんだからさ」
「それは、分かっている。コウタ班長が秘匿したり、そんな事を考えても居ない事もね、だけど、量子発電所とか言って、結局はうやむやになったじゃないか、そこは熱の利用した蒸気発電所で稼働している。しかし、確かにそのケーブルにヒントを与える、既存のケーブルは使用出来ているし、今も健在だ」
「おいおい・・だから何を言いたいんだよ、ラン・・今そんな状況の話か?」
ランは降りない。そこに食いついていた。
「ああ・・俺には関連があると見ているし、地下坑道は最近では次々と発見され、今もドーム周囲・・言ったら、山切りの木周中に、有線ケーブル網は確かに引かれている。それは確かだろう?」
「ある・・それは確かに存在する。だが、それはもっともっと旧時代に遡るものだと言う事だ。そんなものをどうすると言うんだ。さっぱり君の言う事は理解出来ないが・・」
「山切りの木は、光ケーブル網に至るまでに、有線のケーブルで制御されていた。制御と言うか、勿論この木はオオコウモリをこのエリアに飛来させない為だった」
「ラン・・お前・・」
コウタ班長は眼をくりくりとさせた。




