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第一章 進の日常
「そこまで・・言うのなら、1週間時間をくれ。私も上に逆らってまで、シン君を引きとめる事も出来ないし、かと言って、そのままここで辞表を受け取ったのでは、それでもお前は室長の役目を果たしているのかと、怒られるだろうし・・だから検討させて貰いたい」
おほ・・あくまでこの室長って奴は自己本位なんだ。周囲の者達は、むしろ、若山室長を軽蔑し冷めた目で見るのであった。
ぺこりと頭を下げると、シンは部屋を飛び出した。誰も、この日のシンを止める事は出来なかった。1週間時間をくれと言うのだから、1週間の休暇を恐らく取得したのと同然であろうなと思った。
その日、同僚達の休息時間中の会話である。
「シン君が辞める絶好のタイミングだったんじゃないの?だから、若山室長に怒られて逆切れする位の仕返しをしたかったのさ」
「いや・・でも、聞いていると、シン君の言う事も分かるんだよな。あいつに何も教えるな、シカトしようって言う雰囲気だったから、システムを十分に理解出来なかったのも仕方が無いよ」