表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シンカラス  作者: 白木克之
594/1722

第四章そのニ 繫がる世界

 犬も人も群れを第一にして生きて来たからだ。

 犬達が夜中に一度ぴくっと起き耳を立てたが、大過なく夜が明けた。カメラを設置しているため、生体が昼行性か夜行性なのかは分からないので、シン達は、その盆地のやや低い尾根を越え、やはり同じように赤茶けた峰が見える谷まで降りる事に・・通常の地形ならば、窪地には水が溜まったり水路がある筈なのだが、四国に来て思ったのは極端に河川が無い事だった。つまり、雨が殆ど降らない砂漠地帯になっている可能性も出て来たのだ。不毛の大地は、電磁パルス爆裂の影響だけとは限らない。実際人工物などは悉く破壊されたりはしているが、石灰岩地帯の岩盤であるとか、この四国の岩であるとか破壊されていないものはかなりある。温泉地のモニュメントもそうだった。あまねく地上下に影響を与えたとされる電磁パルスは、一体どれだけの威力か、また地下、水面下のどこまでそれらに壊滅的ダメージを与えたのかのデータ等は、無い。見た現状で判断するしか無いのである。また地殻変動による大地震や、大津波もその破壊活動を示しているだろう。そう電磁パルス爆裂と時間的な開きは無いように最近では分かって来た。それならば、諸悪根源説である電磁パルス爆裂は、ショウが少し言いかけたように、成層圏上空まで舞い上がった塵など細かい粉塵によって誤動作を起こした可能性もあるのだ。ただし、否定はしないが、根拠は無い説でもある。むしろ無数にそう言った事象を繋げれば、どれも信憑性があるのであった。


「なあ、シン。何で水路と言うか水も殆ど流れていないのかな、そう言えば、四国西南部は九州からの亜硫酸ガスの雲で、視界が遮られる程だった。しかし、山越えをして太平洋岸に抜けると、真っ青な空と広大な砂浜が延々と広がり、なだらかな山が続いていた。これらも地震によって一旦プレートの中に沈み込んだものが隆起して来た影響かな。その後、海蝕運動によって砂浜が広がった」

「そう言う可能性はあるだろうな、しかしそれも無数にある理論の一つだ」


 シンは、頷きながらも肯定はしなかった。

 結局、水のない谷底に降りて何の発見も収穫も無いまま盆地にに戻り、デジタルカメラを回収した。浅そうな池で生体が居るのなら現れてもおかしくは無い筈だが、2人が見た範囲では分からなかった。眼の錯覚もあるだろうと、そのまま又山を下り、コウタ班長達と合流する事に。瀬戸内海以外は、やはり四国は不毛の地にしか見えなかった。

 コウタ班長達は、喜々として次々と見かけた生体の観察記録を続けている。


「まあ・・大きな魚類は今の所見ては居ないんだけど、体長30センチ内外の小魚はそれこそ無数に居てね、海藻類の種類も豊富だし、カニやエビも相当の種類が居る。貝類も豊富で、ここだけは別天地なんだ」

「初日だし、見たい事は山ほどあるとは思うけどさ、今からスクリーンに、夕べから今日の夕方近くまで撮影した池に何か居たかどうかの検証をやるからさ、興味があったら見るかい?」

「ふうん・・でも、居たかどうかの検証って・・眼では確認出来なかったのか?」

「十分にはな・・何かが居たように見えたが、居たのなら、俺達の北九州以来初めての・・と言うか、この瀬戸内海の生体以外は陸で見た最初の生物になるかも」

「見てみよう・・河川にも水が無い、殆ど陸地には雨も降らないのか雨季、乾季もある筈なんだがなあ」

「四国だけ気候が違うってか・・まさかなあ・・地理的に九州とはそんなに離れていないんだし」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ