困難に迎え
全員が驚きの声。
「実に・・シン君の実動での観察として、我々はオオコウモリ生体武器の事を、今回の一番の危惧として諸君に伝えた。実際その通りで、超音波及び、実害の大きな糞や生息数の事も大きな脅威だ。だが・・もっともっと大きな問題があった。シン君、君は、オオコオモリがそんなに速く飛ぶのかと疑問を呈されたね?」
「は・・い」
「そうなんだよ、オオコウモリはその体も大きい、もう少し後で説明しようと思ったが、こんな情報をいきなり出しては驚かれるし、腰を引かれるかも知れないと思ってね。でも、披露しよう。飛行速度は、実に160キロ以上もあるのだと言えば?」
全員がこれには眼を丸くした。
「ええっ!そんなに速く飛ぶんですか!」
「うん、そのように飛ぶべき色んな蝙蝠のDNA操作・設計を行って来た。人間である我々には到底敵う速度ではないし、空から襲われたらどうしようもない。シンツールは、大木が点在する地点を、ある程度シン君が、数度の数キロ範囲圏にて観察・体験した結果、ここを起点にそれを縫うように、通路を構築すると言うものだった。そして、情報管理室にあった情報の中で、その大木の詳細地図を作製した。これは、仕事内容を指示もされず、シカトされて来た。そうなんだよ、シン君には何も教えるな、好きにさせろと言う指令があったからだ。我々は既にシン君のそう言った才能や、優れた資質に注目をしていた。特に、シン君・・貴方は瞬間画像認識能力があるんだよね、自分の見たものを全て記憶出来る能力が」
「え・・シン、お前って、そうだったのかよ」
ランでさえも知らない情報だった。
「まあ・・でも、そんな事が出来たからと言って・・」
「いや、でもそう言う能力のお陰でシンツールの基本が完成した。そうだよね」
「大木の所には、何故か危険な匂いがしなかった。つまり、この木は何か分からないけど、そう言う匂いなのか忌避するような物質があるのでは?と。それが全て大木に一致したんです」
「そう!その通りだ。更にいうならば、オオコオモリは生体武器、夜行性と私も説明して来たが、実は、改良によって、昼も夜も飛ぶようだ。やっかいなのは勿論我々が昼間を主に行動する事なので、我々もそう説明して来た。シン君が感じたのは、その飛行速度と、深い密林故による黒い体が、その保護色にもなり、非常に観察が困難な点にあるのだよ」
「うわ・・また新たな情報だよ、昼間も飛ぶって言ったら、無敵じゃないか、飛行速度も驚く程だし、人間程の大きさもある奴が空から襲って来たら、例え超音波じゃなくても1対1でもやられるかも」
ショウが呻いた。